メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

不倫は当事者だけの問題ではないのはなぜか

数年前まで許された女優の不倫も、今では批判の対象に

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  山尾志桜里衆議院議員(43)と9歳年下の弁護士、女優の斉藤由貴と開業医、この二つの不倫スキャンダルでメディアは持ちきりだった。私も取材先での雑談で必ずこの話がでた。山尾議員の場合は、批判されて当然だろう。彼女は不倫問題で辞職した宮崎謙介元衆議院議員(36)を痛烈に批判していた。それなのに、自分も同じことをやるのだから。また、働く母親の代表のように振る舞っていたのに、週に4回も男性と密会していたというのは社会人としてあるまじき行動だ。

数年前までは女優の不倫は許されていたのに

女優の斉藤由貴さん=2016年4月、東京都内拡大女優の斉藤由貴さん=2016年4月、東京都内
  しかし、斉藤由貴(51)の不倫がここまで批判されるのをみて、時流が変わったなと感じた。数年前は、女優の不倫は大目に見られていたからだ。現在炎上キャラとして注目の真木よう子も2012年に演出家の長塚圭史との不倫報道があり、これをきっかけに長塚は妻で女優の常磐貴子と別居したとも報じられた。

  また、2014年2月に女優の広末涼子が俳優の佐藤健との不倫密会を「女性セブン」に報じられた。これらの不倫スキャンダルは真木や広末のキャリアになんらマイナス影響がなかった。それどころか、真木は魔性の女のイメージを高め、広末は年下の俳優をも誘惑できるセクシーさをアピールした。

  アイドルや女子アナ、バラエティタレントは、私たち庶民の延長にいる芸能人だ。しかし、女優は違う。飛び抜けた美貌でドラマや映画でフィクションを演じる。だから私生活もフィクションじみて見える。広末涼子が佐藤健と完全個室のスパでふたりきりの時間を過ごしたなんて、まるで映画のワンシーンのようだ。

  女優は元々私たちとは別の世界の生き物だったから、女優の不倫は問題にならなかった。

  ところが今回の斉藤由貴の不倫は違う。批判があるために、会見を開き、否定したために、さらに証拠の写真が掲載されてしまった。その後、斉藤は一転不倫を認め、「今後お仕事で派生するペナルティーは、覚悟してお受けいたします」とコメントしている。

  なぜ真木や広末の時は許されて、今回の斉藤由貴は駄目なのか。30歳前後の美人女優と、51歳で母親役を演じる斉藤由貴では、不倫報道も読者の目には違ったから、ということではないと思う。理由は、去年来、不倫御法度の風潮が強まってきたからだ。真木や広末も2017年現在、ふたたび不倫スキャンダルを起こしたら仕事に影響がでるだろう。

『魔性の女』復活!と喜んではいけない

  正直、私は斉藤由貴の不倫がこのように問題視されるとは思っていなかった。斉藤由貴といえば、かつては魔性の女として知られた女優だ。経済学者の田中秀臣は2017年9月12日の『おはよう寺ちゃん活動中』(文化放送)で、他の番組で共演した斉藤由貴が本当に可愛かったと嬉しそうに語っていたが、今の40代後半から50代の人たちにとってはまさに憧れのアイドルだった。

  実は私も10代の頃に斉藤由貴が大好きで写真を持ち歩いていたぐらいだ。ふんわりとして可愛らしく、清潔感があった。その彼女は1990年代前半に歌手の尾崎豊との不倫が報じられた。また、その後には俳優の川崎麻世との不倫も話題になった。これらのスキャンダルが契機になったのか、斉藤由貴は清純派から汚れ役もこなせる本格的な女優として開花していく。

  1993年放映『同窓会』(日本テレビ系)では ・・・続きを読む
(残り:約2102文字/本文:約3542文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る