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大阪地検の森友学園事件の追及はどこまで?

しゃべりすぎるキーマンの逮捕と時間稼ぎか、捜査に期待するより選挙での審判が本筋

河合幹雄 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)

 今春から騒がれてきた森友学園の籠池夫妻が、2017年7月31日大阪地検特捜部によって逮捕された。容疑は、国土交通省の「サスティナブル建築先導事業に対する補助金」に対する詐欺容疑である。そして、8月21日、今度は、大阪府に対する補助金詐欺と同未遂の容疑で再逮捕された。

森友学園が国に提出した「深さ3.8メートルからごみが出た根拠」とされる3枚の写真の1枚。穴の中は暗く、白板に日付はなく文字も判読しづらい=学園関係者提供拡大森友学園が国に提出した「深さ3.8メートルからごみが出た根拠」とされる3枚の写真の1枚。穴の中は暗く、白板に日付はなく文字も判読しづらい=学園関係者提供
 捜査する側は、取りつきやすい手掛かりから始めて本丸を目指すのが常道である。大阪地検特捜部は、本丸の、財務省近畿財務局からの国有地払い下げのさいの8億2000万円の値引きについて犯罪でなかったかどうか確かめてほしいというのが大方の期待するところであろう。理想を語るのは簡単であるが、こと捜査については現実的困難をどう超えていくかである。今回の特捜の動きと、これまでの類似事件の処理を手掛かりに、現状を診断してみたい。

 まず31日の逮捕には、二つの注目点がある。第一は、夫婦ともに身柄拘束したことである。法律上は、「逃亡のおそれ」または「罪証隠滅のおそれ」があるときのみ身柄拘束されるのであるが、逃亡のおそれは全くなく、罪証隠滅しか理由にできないのだが、逮捕に踏み切っている。そのうえ被害額が小さく、被害弁済までされていることを考慮すれば身柄をとるような事件ではない。

  この点については、第二の逮捕がきたこともあって、何が起きているのか予測することはたやすい。ストレートに言えば、籠池夫妻を黙らせるためであろう。これまでも「しゃべりすぎるキーマン」の逮捕ということは何度も起きている。1998年の大蔵省接待汚職事件の際の野村証券法人営業管理部課長代理の別件での逮捕、2002年の三井環・元大阪高等検察庁公安部長の逮捕を例としてあげておこう。

  さて、問題は、なぜ黙らせたいかである。森友事件は、補助金詐欺法違反に絞ってさえ関係者が多数いる。籠池氏の独演でないどころか、彼が中心でないことは間違いないであろう。補助金を直接ではなく、工事代金としてや、建物の設計費として間接的に受け取った者や、様々な仲介者がいるはずである。どこまでを検挙のターゲットにするか、現実には、どこかで線引きが必要になる。捜査打ち止めラインを引く際に、しゃべりすぎる人物は邪魔である。

  第二の注目点は、補助金適正化法違反ではなく、詐欺罪の容疑で逮捕したことである。特別法は ・・・続きを読む
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筆者

河合幹雄

河合幹雄(かわい・みきお) 桐蔭横浜大法学部教授(法社会学)

桐蔭横浜大法学部教授。1960年、奈良県生まれ。京都大大学院法学研究科で法社会学専攻、博士後期課程認定修了。京都大法学部助手をへて桐蔭横浜大へ。法務省矯正局における「矯正処遇に関する政策研究会」委員、警察大学校嘱託教官(特別捜査幹部研修教官)。著書に『安全神話崩壊のパラドックス 治安の法社会学』『日本の殺人』『終身刑の死角』。

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