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死ぬまでに一度は訪れたいという嵐山の竹林の現状

観光客の増加で年中繁忙期の京都、竹の表面に刻まれる横文字の落書き

薄雲鈴代 ライター

嵐山の竹林の表面には横文字で刻まれた落書きが目につく=2017年11月1日、京都市右京区嵐山の竹林の表面には横文字で刻まれた落書きが目につく=2017年11月1日、京都市右京区
 錦繍の候、いつにも増して京都は盛況だ。

 平日にもかかわらず、名刹名庭はどこも人で溢れている。紅葉のシーズンになると「見どころは?」「穴場は?」の問い合わせが絶えない。以前ならば、早朝に名だたる古刹へ行かれることを勧めていた。たとえば開門6時早々に東山から朝陽の差す清水寺を詣でたり、南禅寺のような禅寺ならば、朝靄の中を托鉢に向かう修行僧と出くわしたりと、紅葉の彩りのもと、自分だけの清澄な一瞬に出会えるからだ。

  ところが、昨今ではその裏技が通じない。はやばやと朝から観光客で賑わい、俗塵に塗れている。ひとりだけの紅葉観賞といった贅沢な時間はどこにもない。

  日々暮らしていても、京都という土地は馴れることがなく、日常の当たり前にならない。なんて神秘的なのだろうと心奮える場面が其処此処にある。なのに、この頃ではヒト疲れで終わってしまうことがよくある。

  なんといっても嵐山に遊ぶ人の多さには驚いてしまう。先日も雑誌の取材で天龍寺に伺ったが、亀山を借景とした曹源池庭園も人だらけ。方丈の広縁も各国のことばが飛び交い喧しい。いつからか京都には閑散期というものがなくなった。

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