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月9『民衆の敵』はなぜ盛り上がらないのか

視聴率不振は小池百合子のせい? 脚本作りで同じ失敗を繰り返すのはなぜ?

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  今クールのドラマも佳境を迎えている。今回はなにかと話題のフジテレビ月9(月曜日夜9時放送ドラマ)の『民衆の敵・・・世の中、おかしくないですか!?・・・』を見てみたい。

フジテレビのドラマ『民衆の敵』で主演をつとめる篠原涼子=2015年10月拡大フジテレビのドラマ『民衆の敵』で主演をつとめる篠原涼子=2015年10月
  政治をテーマにしたドラマで、衆議院選挙の影響でスタートが一週遅れたことで話題になり、放送前から注目を集めた。高校中退の主婦が市議会議員になって、政治や社会を変えていくという物語だ。篠原涼子、高橋一生、石田ゆり子、前田敦子とそうそうたる人気役者を揃え、テーマは女性と政治と目新しさもある。

  だが、視聴率は振るわない。初回が9.0%と一桁台で、その後も7%台で推移、20日の第5回は6.9%だった。

  前クールの月9『コード・ブルー―ドクターヘリ緊急救命―THE THIRD SEASON』は平均視聴率14.6%で夏ドラマ中で最も高い数字をあげた。それに比べると『民衆の敵』は半分となる。

  なぜ、ここまで数字が振るわないのか。

  前クール、低視聴率で話題になった『セシルのもくろみ』(フジテレビ系)と同じ失敗をしていると話すのは、出版社でフィクション作品をてがけてきたベテラン編集者だ。

  「主婦が新しい世界に出て行き解放され成長するという設定はドラマの鉄板です。今クール好調の『奥様は、取り扱い注意』(日本テレビ系)もこのパターンで成功しています。ところが『民衆の敵』は『セシルのもくろみ』と同様に、ヒロインが行動を起こす理由が曖昧なので、物語が始まらないんです。平凡な主婦が市議に立候補!というありえない行動にリアリティを与えるためには、過程や動機を丁寧に描く必要があります。石田ゆり子が演じる元政治部記者にそそのかされるとか、余貴美子が演じる女性市長に勧められるとか……。立候補するまでの葛藤をちゃんと描けば、選挙戦の様子なんていらないんですよ。せっかく豪華なキャストなのにもったいないなあと感じます」

小池百合子のせいではない

  フジテレビの月曜日の夜9時から放送のドラマ、通称月9といえば、数々のヒット作を生み出してきた枠だ。1996年放送の『ロングバケーション』は平均視聴率29.6%、2007年『ガリレオ』は平均視聴率21.9%と社会現象クラスの人気ドラマを送り出してきた。そのため、月9といえば、ゴールデンタイムの花形ドラマの代名詞となった。

  しかし、昨今は視聴率が低迷することも多い。 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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