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NHK杯、羽生結弦の負傷に思う身体的なリスク

平昌オリンピックまで、誰が怪我をせずに続けていけるのか

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

表彰式を終え、記念撮影をする(左から)2位のアダム・リッポン、優勝したセルゲイ・ボロノフ、3位のアレクセイ・ビチェンコ拡大NHK杯の表彰式を終え、記念撮影をする(左から)2位のアダム・リッポン(アメリカ)、優勝したセルゲイ・ボロノフ(ロシア)、3位のオレクセイ・バイチェンコ(イスラエル)
 フィギュアスケートGP(グランプリ)シリーズNHK杯の男子シングルの結果は、スケート関係者すべてにとってサプライズだったと思う。圧倒的な優勝候補だった羽生結弦が公式練習中に怪我をして、欠場という予想外の事件が起きた中、ベテラン勢3人が表彰台を占めたのである。

4回転フィーバーのその裏で

 ここ2シーズンばかり、若手選手たちが何種類もの4回転ジャンプに挑戦し、次々試合でもマスターしていった。ルッツ、フリップ、ループ、サルコウ、トウループと5種類の4回転ジャンプが出揃って、選手も関係者もメディアも、4回転ジャンプへの熱に浮かされた状態になっていた。

 その一方で、2種類以上の4回転ジャンプを持っていない選手は、自然にメダル圏外にと追いやられていった。最もタフで、若さと強さの両方を兼ね備えた選手のみが、表彰台に上がる。それはフィギュアスケートに限らず、全てのスポーツにおいては当然のことである。

30歳前後のベテランが表彰台を独占

 だがNHK杯で男子の表彰台を占めたのは、すでに年齢的にピークが過ぎたと思われていたベテラン勢3人だった。

 優勝したロシアのセルゲイ・ボロノフは30歳。2位のアダム・リッポン(アメリカ)はちょうどフリーの日に28歳になった。そして3位のオレクセイ・バイチェンコ(イスラエル)も今度の2月で30歳になる。この表彰台の顔ぶれを、いったい誰が予想しただろう。

 「全選手の中で、最も年長者の我々3人が表彰台に上がったのは、最高にクールだと思う」と、会見でリッポン。

 「念のため、3人の中ではぼくが一番若いけれど」と付け加えて、記者たちを笑わせた。

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筆者

田村明子

田村明子(たむら・あきこ) ノンフィクションライター、翻訳家

盛岡市生まれ。中学卒業後、単身でアメリカ留学。ニューヨークの美大を卒業後、出版社勤務などを経て、ニューヨークを拠点に執筆活動を始める。1993年からフィギュアスケートを取材し、98年の長野冬季五輪では運営委員を務める。著書に、『挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて』、『パーフェクトプログラム――日本フィギュアスケート史上最大の挑戦』、『銀盤の軌跡――フィギュアスケート日本 ソチ五輪への道』(ともに新潮社)などスケート関係のほか、『聞き上手の英会話――英語がニガテでもうまくいく!』(KADOKAWA)、『ニューヨーカーに学ぶ軽く見られない英語』(朝日新書)など英会話の著書、訳書多数。

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