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『監獄のお姫さま』で泣ける人と泣けない人(下)

進化するおばさんと戸惑う男たち、そして女の連帯というファンタジー

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 大量生産、大量消費の時代は終わり、現在は「一部のコアな層に熱狂的に求められるもの」にこそ商品価値がある。宮藤官九郎はテレビの中で、「コアなファンを掴む」ことに成功してきた脚本家だ。彼のドラマは視聴率がパッとしないものも多いが、固定の熱心なファンが存在する。そのため、二度、三度とみたくなる。

 そのクドカンの新作『監獄のお姫さま』では、女の連帯が描かれる。
現実社会の中で女同士が連帯するのは実に難しい。ママ友の世界を取材していた時に、取材期間中に、それまで仲良しだったママ同士が決別していることもあった。ちょっとしたことで女同士は離れていく。『監獄のお姫さま』の1話ではセレブイケメン社長に復讐をするために彼の子供を誘拐する。

  その後、子供を解放する代わりに、社長を人質にとり、ある事件の再審請求を要求する……というところから物語は始まる。このリアリティがない話にどう説得力を持たせるか。2話から6話までで時間をかけて、個性がバラバラの女たちが連帯をし、社長に復讐を誓う様子が描かれていく。

しっかりしたプロット

  先に今クール視聴率が不振の月9『民衆の敵』に関する記事を書いたが、その中で「なぜ、ヒロインが市議に立候補するのか」という動機や過程がちゃんと描かれてないために、視聴者はドラマに入っていけないことを指摘した。高校中退で失業中の主婦が「給与が高いから」という理由だけで、市議に立候補するというのは説得力に欠けるし、視聴者も感情移入できない。

  荒唐無稽なストーリーであるからこそ、過程や動機を丁寧に描いて、視聴者が納得できるようにしないと、見続けてもらえない。 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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