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『M-1』に新しさを求めるのは間違いか?(上)

下手だけど斬新で面白い漫才コンビがなぜ出てこなくなったのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

M-1で優勝した「とろサーモン」=2017年12月3日、東京・六本木のテレビ朝日拡大M-1で優勝した「とろサーモン」=2017年12月3日、東京・六本木のテレビ朝日
 今年も『M-1グランプリ2017』が終わった。若手漫才コンビの登竜門で、フットボールアワー、サンドウィッチマン、中川家、南海キャンディーズ、メイプル超合金といった人気者たちもこの賞で優勝したり、ファイナリストに残ったりしたことで注目された。日本で最も知名度が大きく、毎年アマチュア・プロあわせて約4000人が参加する賞レースだ。

  すでにテレビに頻繁に出演している売れっ子芸人たち……南海キャンディーズや三四郎、尼神インター、ハライチも参加しているが、決勝までは残れていない。

 決勝はゴールデンタイムにテレビ朝日系列で全国放送され、結果は大きく報道される。

  まさに国民的なお笑いの祭典だ。2001年から2010年まで開催され、2015年に復活した。

  今年の『M-1』も大いに話題を集めたが、一方で、視聴者の中にはこう思っている人もいるのではないか。「2000年代の『M-1』の方が面白かったなあ」と。正直、私もそう感じている。なぜ、そんな風に感じるかといえば、それは私がお笑いの素人だからだ。

  『M-1グランプリ2008』の優勝者、NON STYLEは、今年ファイナリスト発表の司会をつとめた。その際、NON STYLEは「今、僕らが出たら決勝に残れなかった。そのぐらいレベルが高い」という趣旨をコメントした。

  ここでいうレベルとは技術的なことだ。ネタ(脚本)を作るスキル、そのネタを具象化していくパフォーマンスのテクニック。これらの技術的なレベルが高いコンビしかファイナリストとして残れなくなっている。結果的に下手だけど新鮮な漫才コンビが決勝戦では見られない。これを非常に寂しく感じるのは私だけだろうか。

結成10年以内から15年以内に変更

  なぜ、ここまで決勝戦に出るために求められる漫才の技術レベルが高くなったかといえば、参加資格が変更されたからだ。

  2010年までの回では ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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