メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

『M-1』に新しさを求めるのは間違いか?(下)

大化けしたゆにばーす、男女コンビ漫才の新潮流はいじわるな女子目線

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 『M-1グランプリ2017』について書いている。最後の回は、今年の『M-1』で私が最も感動したゆにばーすについて書きたい。冴えない眼鏡顔の川瀬名人と、ブスキャラのはらによる若手男女コンビだ。以前、この欄で女芸人について述べたが、その際、意識的に私はゆにばーすのはらについては触れなかった。

 なぜかというと、去年の『M-1』準決勝でのゆにばーすはパッとしなかったからだ。ボケ担当でブスキャラのはらを、相方の川瀬がいじるという、前時代的な「ブスいじり」漫才で、正直「よくこんなのが準決勝に残れたな」と思った。「ブスいじり」はセクハラ厳禁の時流に合わないし、面白くもない。ブスは見ればブスと分かる。だから、ブスをブスといじってもひねりがなくて、笑えないのだ。

 ところがだ。ゆにばーすはこの一年で大化けした。まったく違うすばらしい男女コンビに成長した。

 男女コンビといえば、『キングオブコント』でブレイクしたにゃんこスターの2人が交際していることが話題になっている。これに対して川瀬は、自分たちはビジネスパートナーであると主張している。絶対に「はらと自分が交際していると思われたくない」という雰囲気を醸し出している。この男女コンビは「つきあっている?」と誤解されかねないことをネタにしたのが、今年の『M-1』で披露した漫才だった。

 テーマは「地方営業」だ。地方営業の仕事が入ったと聞いて、川瀬は「吉本は若手にもそういう仕事をくれるいい会社なんですよ」と所属事務所をよいしょするが、はらに「部屋一緒だって」といわれると、「ブラック企業か!」とキレる。「俺とお前が同じ部屋はヤバイだろ」と続けると、はらは「思春期か」とせせら笑う。そこから二人は同じ部屋に泊まるシミュレーションを始める。

  この中で、はらがなんの脈絡もなく中村あゆみの『翼の折れたエンジェル』を歌うシーンがあり ・・・続きを読む
(残り:約2324文字/本文:約3117文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の新着記事

もっと見る