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稲田朋美氏は顔写真チョコ 手土産最前線(下)

手土産における付加価値とはなにか? 高級ブランドスイーツの危険さ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

  前回、手土産で無難なのは定番商品だという話をした。しかし、それは昭和の時代からの老舗ブランドの超定番商品よりも、バブル崩壊後に知名度をあげていった商品だ。不況の時代に売り上げを伸ばし、生き残ったお菓子は、子供からお年寄りまで誰が食べても「おいしい」と思える。高級感があり、かつ、無難だ。今回は手土産に無難さではなく、付加価値を加える方法を考えたい。

高級スイーツブランドのリスク

  手土産に付加価値をつけようとしたら、高級ブランド菓子を贈るという選択肢がもっとも手軽だ。以前書いたが、ゴディバのチョコレートが日本で成功したのは、高級ブランドとしての認知を浸透させたからだ。男性はお菓子のブランドをほぼわからない。

  しかし、ゴディバだけは「高級品」として知っている。ゆえに、ゴディバは男性への贈答品として、バレンタインを中心に売れていく。男性上司に御馳走になった後に、お礼としてゴディバを渡す女性も多い。

  だが、このブランド品を贈るというのも、相手がそのジャンルの通の場合にはリスクがある。多くの企業で、新人に「ブランド物の名刺入れは持つな」と指導をするがその理由も変化している。かつては「生意気に見えるから」だったが、現在は「ミーハーだと思われるから」になっている。これは手土産のお菓子にも通じる。

  私にはこんな体験がある。

  取材先で、超有名老舗店のブランド和菓子を出された。その時、相手は「ごめんなさいね、これ、たいしておいしくないのよね。○○さんがくれたんだけど、ほんと、あの人はブランド志向よ」と欠席裁判をしながら、その和菓子をテーブルの上に置いた。

  確かにブランド力は高いが、味はコンビニスイーツと同レベルで、おいしいにはおいしいが、特別な味ではない。つまり、名ばかりで、さほどおいしくもない菓子を渡すと、「ミーハーな人」と評価を下げてしまう可能性がある。手土産ひとつ選ぶのにも、想像力が重要な時代になってきている。

なぜ行列スイーツは常に発生するのか

  高級ブランドだと「ミーハー」と思われるリスクがある。だとしたら、どうやって、手土産に付加価値をつければいいか。一つ考えられるのが入手困難な品物だ。

  以前、クリスピードーナツの新宿サザンテラス店の閉店についての記事を書いた。

  2006年にオープンした時は長蛇の行列ができて話題になった。私も取材に行った。あげたてのクリスピードーナツは口に入れると、とろけるような食感で、新鮮だった。しかし、クリスピードーナツの広報も戸惑うほどの行列はなぜできたのか。

  地方から東京に遊びにきた人たちが、新宿駅のバスターミナルで降りて、そのまま、クリスピードーナツに並んだのだ。アメリカのドーナツブランドの1号店。白に緑と赤のパッケージもお洒落で、東京土産として最適だった。

  クリスピードーナツは広報担当者が優秀で、メディア対応も完璧だった。そのため、テレビなどでも行列の様子が取り上げられ、認知度が上がった。そのため、クリスピードーナツをお土産でもらえば、「私のために並んでくれたんだ」と感謝の念を持つ。

  これは他の行列スイーツも同じではないだろうか。 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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