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[3]4月にW杯予選始まる高倉麻子なでしこ監督

「若手は十分に力を発揮できない面も。ベテラン含めもう一回組み直す」

増島みどり スポーツライター

 昨年12月15日、「なでしこジャパン」はいわば彼女たちの原点ともいえるE―1サッカー選手権(前・東アジア選手権)タイトル奪還をかけて最終戦で北朝鮮と対戦した。2008年1月、当時、コーチから就任した佐々木則夫監督に率いられ3戦全勝で果たした初優勝が女子代表史上初のタイトルである。

サッカー日本女子代表監督の高倉麻子さん。夫を誘って河川敷でボールを蹴ることも=2017年11月10日、東京都葛飾区拡大サッカー日本女子代表監督の高倉麻子さん。夫を誘って河川敷でボールを蹴ることも=2017年11月10日、東京都葛飾区
  中国、韓国、北朝鮮と全チームが世界ランキング上位に入るハイレベルの東アジアを制した正確なサッカー、激戦を勝ち抜いた大きな自信は同年夏の北京五輪史上最高位となる4位につながった。

  また10年にも今大会を制し、翌年のW杯ドイツ大会で一気に世界の頂点にまで上り詰めた。16年リオデジャネイロ五輪に出場できなかった代表が、再び東アジアを起点に浮上のきっかけを掴むにも十分な舞台だったが、結果は0-2と完敗し2勝1敗で2位となった。

  試合後、女子ではあまり見られない光景があった。サポーターが「何でこんな試合をするんだ」といった声を選手に浴びせたのだ。驚く選手たちのなかで、30歳のベテラン、阪口夢穂(さかぐち・みずほ、日テレ)、宇津木瑠美(29=シアトル)、中堅の田中美南(23=日テレ)たちはサポーターにさらに近づいて声を受け止めようとした。

  高倉監督は「ロッカーで、悔しいと涙を流した選手もいた。これでは(W杯予選)突破は無理、もっと個人が強くならないといけない、と言い合う場面もありました」と、ピッチ以上にロッカーの中でも選手を注意深く見つめていたようだ。

  2018年4月、19年のW杯に向けたアジア予選がヨルダンで始まる。

  16年リオ五輪のアジア最終予選で敗れて以来、2年も遠ざかった真剣勝負に敗れ優勝は逸したが、監督は「しばらく感覚を失っていた勝負のスイッチが入るならば、この負けが本当のスタート地点になればいい」と前を向く。

  11年W杯は優勝、15年は準優勝を果たし、19年はそのチームが東京五輪に向かう。16年4月に就任し、2年目に勝負の時を迎える女子サッカーのレジェンドでもある、高倉監督はスイッチをどう入れるのか。

「たとえ点を奪われても、もう一回やってやろう」がなでしこ

 ――なでしこが手にした初タイトルに手をかけながら奪えませんでした。

 高倉 引き分けでは優勝できない。勝ちに行くために逃げられない試合でした。ボールはこれまでの試合以上に良く動いていましたが、最後の最後に相手に脅威を与えるところまで攻めていない。コーナーキックがゼロでしたね。いかに相手ゴールを攻めていないかを象徴する数字でしょう。

 ――16年にリオ五輪予選で敗退して以降 ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

スポーツライター。1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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