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瀕死のブランドを救うのは何なのか?

ファストファッショやSNSが影響力を強めるなか、口コミで評価されたパーティとは

田中敏恵 文筆家

 カジュアル化が著しいファッションの世界で、ラグジュアリーブランドの生き残りは至上命題のひとつといっていい。今、最も注目されているグッチのデザイナー、アレッサンドロ・ミケーレは雑誌のインタビューで「ファッションは瀕死の状態ならば死なせてあげればいい」という刺激的なメッセージをおくっている。

 00年代あれほど盛り上がっていたブランドファッション界に陰りが見えるのは、カジュアル化だけが問題ではないだろう。ファストファッションやSNSの成熟により、何もラグジュアリーブランドやモード誌を参考にしなくても、“トレンド”を知り身に付けることは容易である。

 いや、本家以上に早いスピードで手に入れられる。また世界戦略の一環として、ブランドはどの国にいても同じショーウィンドウに飾られたスタイルが打ち出されるようになって久しい。これによって、ブランドが提案したいファッションが徹底されるわけだが、その土地の個性は希薄になる。

  コピペともいえるビジュアルイメージ、SNSなどによりインターネット上でおおよその情報を手に入れられる状況は、ファッションをどんどん記号化させている。商品のデザインやクオリティ以外にも、高価な店のしつらえや教育された店員など、ラグジュアリーブランドがラグジュアリーであるしかるべき理由は、もしかしたらどんどん役割がなくなっていっているのかもしれない

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