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1990年代、電通総研が示した可能性と限界

政策シンクタンク不在の日本の25年にも光明の兆しはあった

倉沢鉄也 日鉄住金総研研究主幹

 加藤創太氏(東京財団常務理事・上席研究員)がWEBRONZAに記した「日本の民主主義に足りないもの」(2017年12月15日)を拝読し、筆者が15年以上、世に問わなかった論点の封印を解かざるを得ないと感じ、筆をとった。私事に基づく論考となることをご容赦いただきたい。

 手元に『頭脳なき国家の悲劇』(講談社)という25年前の本がある。今もAmazonで中古品がわずかに手に入るようだ。軍事アナリストとして著名な小川和久氏が、日本の国家安全保障政策の底の浅さの原因は政策シンクタンクの不在にあると仮説し、日本戦後のシンクタンクの歴史と現在を多面的に取材して論じた書籍だ。

明かりがともる電通本社ビル(中央)。1987年に100%を出資し子会社として設立した電通総研を、電通は99年に吸収合併した=2016年12月28日、東京都港区東新橋1丁目拡大明かりがともる電通本社ビル(中央)。1987年に100%を出資し子会社として設立した電通総研を、電通は99年に吸収合併した=2016年12月28日、東京都港区東新橋1丁目
  シンクタンクの組織が持つべき資質、研究員が持つべき資質、運営上の課題、人材面の課題、親会社を含むパトロネージとの関係、情報にカネを払わない日本の慣習、永田町及び霞が関の存在と人事の仕組み、など典型的に論じるべきシンクタンクの議論(この本にも網羅されている)はすべて省略し、この最終章に「(1993年現在の)シンクタンカー新世紀への展望」として紹介されている、(株)電通総研が示した可能性と限界について少々論考する。

  この本に紹介されている「シンクタンクの新しい形」とは、主に「バイラインフォーラム」という、若手気鋭の有識者(毎回の出席者は10~20人)による非公開の定期座談会である。By-Lineとは署名記事の「署名」を意味し、参加者の記名性を重視することとともに、同フォーラム座長および同社研究所長のカリスマ性(この2人だけが当時60代)、集まる方々の分野の広さ、毎回練った「お題」を提示しゲスト講師やフォーラムメンバーにショートスピーチを依頼する電通総研研究員たちのセンス、において特殊な‘自主研究’であった。 ・・・続きを読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄住金総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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