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平昌五輪を彩る日本代表の兄弟、姉妹たち

スキー複合の渡部兄弟、ジャンプの小林兄弟、スピードスケートの高木姉妹ら

増島みどり スポーツライター

それぞれが花を咲かせる五輪を目指す

 1月24日、海外の冬季五輪では最多となる123選手(予定)となる日本の結団式が都内で行われた。2シーズンに渡る驚異の無敗を誇り、今大会の日本のエース、スピードスケート女子の小平奈緒(31=長野・相沢病院)は主将として「百花繚乱」を大会のテーマに据えた。色々な花が華やかに美しく咲き乱れる様子から転じて、秀でた人物、すぐれた立派な業績が一時期にたくさん現れることを意味する言葉でもある。

  「それぞれの競技で、皆さんが花を咲かせることができればいい。私も大きな花を咲かせたい」

  耳が見えるほど短くカットしたショートヘアに、出場3大会目で初のメダルを狙う意気が強く伝わる。メダル獲得数の目標は前回ソチ五輪の8個を、実に控えめにひとつ増の9個。2020年東京五輪に向かっても無論、様々な意味で重要な大会になる。

  そんな「百花繚乱」にふさわしく、今大会の日本選手を実にユニークな色々な花が彩る。かつてないほどの人数で、兄弟・姉妹が同時に代表に選出されているのだ。

兄、姉の背中を追いかけ、ハイレベルで並んで走るメンタル

  スキーノルディック複合個人では1月に入ってW杯3連勝と、五輪へのメダル曲線を急上昇させて来た渡部暁斗(29)と喜斗(26、ともに北野建設)は、2大会連続での兄弟出場となる。兄の個人メダルだけではなく、団体で表彰台に上がるためには弟の奮起が必要だ。2人は昨年3月、フィンランドで行われたノルディックスキー世界選手権で、日本が苦手としてきた団体スプリントで初めてメダル(銅)を獲得した。その後の取材でこんな話を聞いた。

  「兄弟だから頑張ろう、兄弟だからいい結果といった考えは自分にはありません」

  クールな暁斗は「兄弟のチームワーク」ともてはやそうとするメディアをそんな風に制した。ソチ五輪で個人銀メダルを獲得した後は、競技者として「自由になれた」と言う。それは、メダルという重石も、兄弟の成績を比較する物語からも解放されてただ1人、複合選手としての渡部暁斗と向き合える、そういう真摯な思いからだ。

  「喜斗とだから、ではなく、どのチームメイトとあってもメダルを狙う競技を追求している」兄の矜持だ。

  一方、弟も「暁斗の言う通り。まぁ親は喜んだりハラハラしたりするんでしょうけれど」と笑っていた。暁斗は今回、妻の由梨恵(白馬ク)もハーフパイプ代表に選ばれた。

  夏冬で7回の五輪出場記録を持つ、元スピードスケート女子のメダリスト、橋本聖子氏(現参議院議員)も宮部兄弟(兄・保範、弟・行範)の活躍を見ていた。1992年アルベールビル五輪では弟が1000メートルで銅メダルを獲得した。

  「北海道や寒い地域では、習い事の選択肢もかつてはそれほど多くはありませんでしたから、冬のスポーツを始めれば必ず兄弟、姉妹が皆一緒です。道具を使いますからきょうだいは先ずは一番身近なコーチであり、しばらくするとライバル。そういう環境があるから、お互いが長く続けながらレベルを上げて行けるのかもしれませんね」

  自身は末っ子だった橋本氏は、団長を務めたソチ五輪でこう話していた。冬季種目の場合、地域性から子ども時代に触れる競技はほぼ一緒になる。今大会はノルディックスキーのジャンプにも兄弟代表が誕生した。

  岩手県八幡平市出身の兄・小林潤志郎(26=雪印メグミルク)と、陵有(りょうゆう、21=土屋ホーム)だ。 ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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