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『99.9』の好調は小渕優子の夫の手腕(下)

テレビドラマのヒットの必須条件は「誰からも引かれない」ように作ること

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 今、テレビドラマは過渡期に来ているといえよう。ゴールデンタイム放送のドラマの視聴率が一桁台に落ちるのは珍しくなく、今クール月9『海月姫』や木曜日10時放送『隣の家族は青く見える』(共にフジテレビ系)はすでに5%台を記録している。

  そんな今クール、視聴率トップの『99.9-刑事専門弁護士-SEAZONⅡ』(TBS系)は初回が15.1%で2回目は18.0%を記録している。このドラマのヒットの理由を検証することで、現在のドラマ全体の問題点を考えていきたい。

  前回は緻密な取材に基づく脚本作りを指摘した。今回は誰が見ても楽しめる「イヤミのなさ」について見てみよう。

  ドラマ制作会社のディレクターは『99.9』についてこう話す。

  「キャラクター設定が工夫されていています。特に松本潤さん演じる主人公の作り方は絶妙ですね。松本潤さんは美形すぎて、とっつきにくいと感じる視聴者も多いはず。その松本さんが『99.9』の中では紺のジャケットに茶色いリュックというダサい服装で、オヤジギャグを連発します。結果、親近感を出し、男性視聴者も抵抗なくドラマを楽しめます」

テレビというメディアの特異性

  『99.9』のプロデューサー、瀬戸口克陽は同ドラマのシーズンⅠの時にインタビューにこう答えている。

  「社会派の要素もありますが、エンタテイメント性を意識し、小学生が観てもわかるものを目指します」(『コンフィデンス』2016年4月4日号)

  小学生が観ることを前提にドラマを作る……これがドラマ作りで実は最も重要なことではないか。

  テレビは非常に特殊なメディアだ。

  映画や漫画は客が金を出して商品を買う。ゆえに選んでもらうことが重要となる。客は払った分楽しめないと不満が残る。

  しかし、テレビ番組は選んでもらうというよりも、拒否されないことが重要となる。視聴者はなんとなくテレビの電源を入れ、流れている番組を見始める。不満がなければ、見続けてくれる。面白ければ、口コミで広まって、視聴率は高まっていく。

  まずはチャンネルを変えられないことが大切だ。

  では、どういう時に視聴者はチャンネルを変えてしまうか。 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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