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羽生結弦、宇野昌磨で金銀独占、その勝因は何か?

日本がスケート大国として築き上げてきた結晶

田村明子 ノンフィクションライター、翻訳家

羽生結弦(左)と宇野昌磨金・銀のメダルを披露する羽生結弦(左)と宇野昌磨
 あまりにも出来すぎな、まるでスポーツドラマのような平昌オリンピック男子フィギュアスケートの結果だった。

 11月に右足の靭帯を傷めて3か月余り沈黙を保ってきた羽生結弦。その羽生が、ぶっつけ本番となった平昌オリンピックでSP、フリーともほぼ完璧に近い演技を見せて金メダルを獲得、オリンピック2連覇を果たした。

 こんなことを成し遂げる選手が、とうとう日本から出てきたのである。

羽生結弦のかっこよすぎる有言実行

 2月12日に江陵アイスアリーナで初練習を行ってから、羽生はジャンプの練習は最小限しか見せてこなかった。

 「作戦が大事だと思っている」と事前の会見で語っていたが、最終的には、基礎点の高いルッツやループを避け、トウループとサルコウの、2種類の4回転しか入れなかった。

羽生結弦が宣言「クリーンに滑れば絶対に勝てる」――本番リンク公式練習後の会見詳報

 だがそれが恐らく、勝利への鍵となったのである。

 羽生は2016年の秋に4ループを、そして2017年には4ルッツを試合で成功させて、年々プログラムの難易度を上げていった。常に自分にプレッシャーを与え続け、チャレンジを課して止まるところを知らなかった。

高難度のジャンプをあえて回避した勝利に徹した羽生結弦高難度のジャンプをあえて回避した作戦が功を奏した

 だが彼を競技人生最大の危機に追い込んだのは、その4ルッツだった。2017年11月、NHK杯の公式練習中に、4ルッツの着氷で転倒。右足首の靭帯損傷という大きな負傷を負ったのである。

 「思った以上に大変だった」という以外、詳しく語ろうとはしないものの、

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