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ドーピング問題と強化費不正申請、パワハラ疑惑

禁止薬物でクリーンといわれてきた日本で冬季五輪で初の陽性反応、相次ぐ不祥事

増島みどり スポーツライター

 ピョンチャン五輪期間中の2月13日、スポーツ界の紛争を調停する「スポーツ仲裁裁判所」(CAS)が、日本のショートトラック代表の斎藤慧(21=神奈川大)から、ドーピング検査で禁止薬物の「アセタゾラミド」が検出されたと発表した。驚いたのは、日本のメディア以上に海外の報道機関や関係者だったのかもしれない。大会「最初の」違反者はロシア(今大会ではOAR=OLYMPIC ATHLETE FROM RUSSIA)からではなかった点、過去の五輪で1人も薬物違反者を出していないクリーンな日本「初の」五輪での違反例である点で。

  斎藤は「身に覚えはない」と立場を明確にした上で、選手団に迷惑をかけないようにと選手村を離脱。初の五輪は、大会前に受けた抜き打ち検査によって終わってしまった。JOC(日本オリンピック委員会)も主張を支持し、3月1日には橋本聖子・日本スケート連盟会長が「アメリカ製のコンタクトレンズの保存液が原因かもしれない」と、斎藤を守るため本格的な調査を始めるとした。

  ドーピング案件が起きるたびに、「わざとではないなら問題ない」といった誤解が生じるが、ドーピングとは、本人の尿から禁止薬物の化合物、つまり体内を通過した薬が検出された尿の「結果責任」のみ問うものだ。理由も、途中経過も、人物像も前提ではない。禁止薬物が検出され、「はいその通りです」と答える選手はいない以上「疑わしきは罰する」のが薬物検査の原則だ。

 ドーピングは3種類に分かれる。

 1 意図的に禁止薬物を使用し競技力向上をはかる「ドーピング」

 2 昨年のカヌーの鈴木康大がライバルの飲み物に禁止薬物を混ぜ、陥れようとした「パラ・ドーピング」(傷害罪にあたる)

 3 何を体内に摂取したのか分からない「うっかりドーピング」

  斎藤のコンタクト保存液が事実なら3に該当するが、これも残念ながらドーピングだ。まだ裁定処分が下されていないが、どうやって「うっかり」体内に入ったのか、経緯と薬物の立証責任は選手にある。

  過去、治療用の目薬が禁止薬物に汚染されていたケースや、育毛剤、サプリメントと、日常生活に深く根付いた「うっかり」は決して少なくない。教育を徹底する以外に改善の方法はなく、うんざりするほど細心の注意が必要だ。しかし「トップアスリート」とは、パフォーマンスだけではなく、それを成し遂げた人物への称号なのだ。

競歩・鈴木の強化費不正使用を日本陸連は公開せず

  ピョンチャン五輪開会式の日、2020年東京五輪を狙う金メダルターゲット種目、競歩での不祥事が明るみに出た。20キロの世界記録保持者、鈴木雄介(30=富士通)が、日本陸連から支給される強化費を不正に申請しており、ケガからの復帰を目指すリハビリ期間中と思われていたが、実は昨年10月1日から今月31日までの資格停止処分を受けていたものだ。 ・・・続きを読む
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筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

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