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「放送改革」で読売グループと官邸が対決した日

放送法4条撤廃などを目論む政府と、日本テレビを筆頭に全面対立する民放

川本裕司 朝日新聞社会部記者

 放送法4条撤廃などを打ち出した政府の「放送改革の方針」。対応を協議するため集まった民放キー局幹部を前に、3月23日、大久保好男・日本テレビ社長は、政府の姿勢について「脅しではなく本気だ」と語り、全面的に闘う決意を示した。

通信と放送の規制を一本化

  今回の放送改革の方針は、通信と放送の規制を一本化し、民放について放送法4条をはじめ、外資規制やマスメディア集中排除原則、番組審議機関、番組の編集基準、番組の調和原則など一挙に撤廃する考えだ。放送局の設備部門(ハード)と制作部門(ソフト)の分離も徹底させ、ソフト部門への新規参入を促す姿勢をとっている。

  第2次安倍政権が発足して5年余、特定秘密保護法や安保関連法、共謀罪、憲法改正など重要な法案や政策で、安倍晋三首相と歩調を合わせてきた読売新聞とともにグループの屋台骨を支える日本テレビが、政権との対決も辞さない姿勢に立ったのは初めてだ。

  読売新聞も3月16日朝刊で1、2、3面にわたって放送改革問題を掲載したのを皮切りに、連日のように紙面で取り上げた。「想定される副作用」として、「偏向放送やフェイクニュースの増大」「放送局が中国などの企業に買収され、番組が宣伝活動に利用される恐れ」とわかりやすい事例を挙げたほか、放送業界の声として「首相を応援してくれる番組を期待しているのでは」という見方を紹介した。25日の社説では「番組の劣化と信頼失墜を招く」と反対の立場を明確にした。この問題を初めて報じたのは15日の共同通信だったが、報道量では読売新聞が突出している。

日本テレビ社長と首相が激突?

  ある民放役員によると、3月9日夜、大久保社長が安倍首相と会食した際、放送改革方針について両者は激突し、平行線をたどって折り合えなかった、という。

  政府の放送改革案を強く批判する読売新聞は昨年5月22日朝刊で、前川喜平・前文部科学事務次官が東京・新宿の出会い系バーに頻繁に出入りしている、という記事を掲載した。その後、前川氏が加計学園の獣医学部新設をめぐる官邸の圧力を証言したことから、大きな議論を呼んだ。官邸と読売新聞が連動しているのでは、という疑念の声が上がった。

  この記事に関する興味深いエピソードがある。政治を専門とする著名なフリージャーナリストは、産経新聞の編集局幹部から「官邸から『前川喜平前次官が出会い系バーに出入りしている』という情報が寄せられ取材したが、記事になるような事実を確認できず掲載を見送ったら、読売新聞に記事が出た」と聞いた、という。これについて、産経新聞広報部に問い合わせところ、「取材に関することにはお答えしておりません」という回答だった。

「民放は不要」に各局は猛反発

  安倍首相が放送制度の改革への言及が始まったのは1月22日の施政方針演説で ・・・続きを読む
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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員。10年、論説委員兼務。17年4月から東京社会部。著書に『ニューメディア「誤算」の構造』。共著に『テレビジャーナリズムの現在』『被告席のメディア』『新聞をひらく』。

 

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