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売り手市場で東大文系だけが就職不振?(上)

4年制大学の平均就職内定率91%を下回る東大の実態

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 アイドルグループHKT48のメンバー、指原莉乃が2015年に「素人だったら東大生との合コンに行きたい。東大生だと大手企業に就職できるところが魅力的だ」という旨を番組で話し、ネットニュースになった。東大生=エリートコースという先入観が一般に浸透していることを物語るエピソードだ。

 しかし、実際の東京大学の学生は就職でデータ上は苦戦している。現在、新卒者の就職市場は超売り手市場になっている。厚生労働省と文部科学省の共同調査結果によると、2017年度4年制大学卒業者の就職内定率は91.2%だ。各企業が学生を奪い合う形になっており、中には就職採用期間にインターンの学生を海外旅行に連れて行き、他社を受けさせないという囲い込みをするケースも出てきている。

 しかし、花形の企業には就職希望の学生が殺到する。現在、就職の花形はIT企業や外資系企業、総合商社といったところで、それらの企業の内定者に東大生が目立つのも事実だが、それ以上に多い数の学生がどこにも就職できないという実情がある。

 東大の公式ホームページで公開されているデータをみてみよう。東大の2016年度学部卒業者、3140人のうち、進学も就職もしない卒業者が420人いる。理系を含む全体の数字なので、大半の学生が進学か就職をするようにみえる。しかし、文系だけに注目すると、進学も就職もしない“ニート”化する卒業生の多さが際立つ。

外資で人気の東大経済学部は低い就職率

 外資系コンサルタント・マッキンゼーの元採用マネージャー伊賀泰代の著作『採用基準』(ダイヤモンド社)の中で、東大の法学部の学生よりも経済学部の学生の方が就職市場では有利になるという旨が書かれている。

東大本郷キャンパスにある安田講堂=1992年、東京都文京区拡大東大本郷キャンパスにある安田講堂=1992年、東京都文京区
 しかし、それは一部の学生だけの話のようだ。2016年度経済学部卒業者が352人で、進学が24人、就職者が209人、そのうち進学も就職もしない「その他」の数は119人だ。また、文学部の卒業者338人中、進学をするのは87人、就職者212人、「その他」39人である。 ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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