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#Me Too運動の危険性を考えさせられる事件

人気モデルが広告撮影時のセクハラを告発 なぜ企業幹部は裸の撮影に押しかけたか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 現在、セクハラ被害をSNSで告発する#Me Tooムーブメントがクローズアップされている。#Me Tooのタグを共有し、「私もこんな被害にあった」という告発が次々とニュースになっている。

 今月、注目されているセクハラ告発は、20代モデルがインスタグラムで行った告発だ。女優としても活躍している人気モデルである。今から数年前にその事件は起きた。ある広告の撮影時のことだ。モデルが裸の状態で、両手で乳房を隠すポーズをとるという撮影だった。告発によると、その裸の撮影の時だけ何故か幹部らしき男性たちが大勢現場にやってきたという。ここでいう幹部とは、クライアントの幹部と読み取れる。撮影の現場にくるのはクライアントだからだ。

 裸だから男性たちに見られたくないと伝えたが、写真を幹部に確認してもらう必要があるから無理だと、彼女の訴えは却下され、そのまま撮影は継続されたという。

 ただでさえ、裸の撮影でモデルはナーバスになっている。そこに大人数の男性達がドヤドヤとやってきたのだから、彼女は精神的に追い詰められ、結果、固まってしまったという。撮影時にモデルが固まってしまうのは、あってはならないことだ。いい写真がとれなくなるのだから。

 この告発は炎上状態になり、多くのネットニュースメディアで取り上げられ、政治家や権威ある研究者、文筆家などの著名人たちもツイッターでこの告発への支持を表明している。しかし、一記者である私からみると、それらの反応にはちょっと的外れではないかと思えるものもあるのだ。

柴犬がモデルでも男性幹部たちはやってきたはず

 裸の撮影の時だけ、幹部の男性たちが沢山やってきたという点について、「若い女の子の裸を見に来たんでしょう?! 職権乱用だ」という批判も目立つ。

 つまり、男性幹部たちが「ほら、テレビに出てるあの娘のヌード撮影があるんだよ。見に行こうぜ」と盛り上がって、スケベ心から現場にやってきたというのだ。

 「広告の現場を体験していない人はこう感じるのか」と新鮮であった。私は記者として広告の仕事も経験してきたので、どうしたら、そういう発想が出てくるか分からない。それは私の想像力が足りないのだろう。

 なぜ、この撮影の時だけ、幹部らしき男性社員たちが大量にやってきたのか。それは ・・・続きを読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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