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批判的検証力が問われる「明治維新150年」

偉人の功績を取り上げるイベントの一方で、薩長史観の批判も

樫村愛子 愛知大学教授(社会学)

 今年は「明治150年」。政府は近代国家の成立に尽力した明治維新の偉業を称える「明治礼賛」色でキャンペーンを進めている。一方、地方自治体では経済一色で、明治維新ゆかりの土地を観光客誘致に最大限活用する「地方創生」戦略の一環として進めている。

薩長土肥フォーラムを開催

 昨年10月7日には、東京ビッグサイトで「明治150年記念薩長土肥フォーラム」が開催され、明治維新の原動力となった薩摩(鹿児島県)、長州(山口県)、土佐(高知県)、肥前(佐賀県)の4県が、各県出身の偉人にまつわる功績にスポットを当てて、観光名所や特産品を大々的にアピールした(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53222)。

 もちろん、戦後70年の時に、この機会をと、普段は出せなかった戦争企画モノが博物館・美術館をはじめイベントとして百花繚乱の様相を呈したように、明治150年も文化事業予算があり、中には力のある企画展等も開催される可能性はないとはいえないだろう。この点では、私たちの大事な税金が、「神話」のための広告キャンペーンに浪費されることなく、この機をうまく生かして、文化力の高い企画が出てくることを真に望むところである。

 そして、現政権にそもそも歴史意識が弱い中で、「明治150年」を現代社会との関係で丁寧に確認する作業がなされるかは、文化事業の現場の力や、アカデミズムやメディアの批判的検証力にかかっているだろう。 ・・・続きを読む
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筆者

樫村愛子

樫村愛子(かしむら・あいこ) 愛知大学教授(社会学)

愛知大学文学部社会学コース教授。1958年、京都生まれ。東大大学院人文社会系研究科単位取得退学。2008年から現職。専門はラカン派精神分析理論による現代社会分析・文化分析(社会学/精神分析)。著書に『臨床社会学ならこう考える』『ネオリベラリズムの精神分析』、共著に『リスク化する日本社会』『現代人の社会学・入門』『歴史としての3・11』『ネオリベ現代生活批判序説』など。

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