メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

レストラン「INUA」が与える五感の体験の衝撃

東京の出版社の屋上に世界で最も影響力のあるシェフの店がオープン

田中敏恵 文筆家

デンマークのレストラン「noma」のヘッドシェフのレネ・レゼピさん=2015年2月、東京都中央区デンマークのレストラン「noma」のヘッドシェフのレネ・レゼピさん=2015年2月、東京都中央区
 レストランの世界で今年いちばんのニュースは何か。食欲の秋到来もミシュランの発表もまだではあるが、このインパクトに勝るものは出てこないだろう。INUA。世界で最も影響力を持つともいわれているデンマーク・コペンハーゲンのレストラン、nomaのヘッドシェフであるレネ・レゼピ氏が日本企業と業務提携をして生まれたレストランである。

 2015年、日本橋のマンダリンオリエンタルホテルでのポップアップでは、瞬時に席が埋まったnoma。その味、その世界観をリードするレゼピ氏の元には世界中からパートナーシップへのオファーがやってくる。日本でも多くの企業が手を挙げていたという。しかし、彼が選んだのは外食産業ではなく、総合出版社であるKADOKAWAだった。

 KADOKAWAは、レゼピ氏との業務提携およびINUA出店にあたり100%出資の子会社K’s Labを立ち上げる。nomaの食材部門ディレクターであったトーマス・フレベル氏がヘッドシェフとなり、KADOKAWAの社内でも極秘プロジェクトとして進めてきた。情報が解禁になったのは4月26日、オープンの2カ月前である。

 場所はなんとKADOKAWA富士見ビルの最上階! あのnomaのレネ・レゼピが選んだ相手が出版社であったこと、そしてロケーションもオフィスビルの最上階であることなど、大きな話題となり5月に行われた記者発表には多くのメディアが出席している。

 6月26日にヴェールを脱いで1カ月ほど経った某日。INUAへ行ってきた。ひと言でいえば、INUAの料理は旅。それも新たな発見にあふれた旅であり、新しい扉が開くような旅である。

 メニューはおまかせの1コースのみ。デザートまで含めて13皿ほどが供される。たとえば

・・・ログインして読む
(残り:約1201文字/本文:約1942文字)