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日本の国力の衰退をあらわにした「報道の自由」ランキング71位の衝撃

メディアの「フォックスニュース化」と「忖度」の果てに

柴山哲也 ジャーナリスト、メディア研究者

台湾、韓国のさらに下、第三ランクに

 毎年公表される「国境なき記者団」(本部・パリ)による世界報道の自由度ランキングで、日本は180カ国中の71位に転落した。昨年の67位からさらにランクを落としたのだが、実は2016年は72位だったから、再び70位台の底へ落ちたということだ。アジアでは台湾38位、韓国43位で、日本の等級は台湾、韓国よりワンランク低い。

 ウクライナ戦争で欧米西側の民主主義国VSロシアの独裁国の対比が鮮明になり、世界が二分された国際政治情勢の中の「報道の自由」のランク付けだが、今日の「報道の自由の価値観」そのものの揺らぎが指摘されている。しかし報道の自由とは、一国の民主主義の法的枠組、経済や福祉、教育、人権、文化、国民の自由、暮らしの安定等の各指標を基に、先進国が到達したレベルを示す国力の源泉を物語る数字でもあるから、これを疎かに扱うことはできない。

 ランキング表を世界地図上で見ると、一等グリーン(良い、85-100点)、2等イエロー(満足70-85点)、3等ライトオレンジ(問題あり56-70点)、4等濃いオレンジ(難しい40-55点)、5等レッド(非常に深刻0-40点)の5段階に分類された国別ランクの中で、日本は「問題あり」国に属している。

「国境なき記者団」のサイトより「国境なき記者団」のサイトより

 トップグループのグリーン国は、北欧のノルウェー、デンマーク、スウェーデン、エストニア、フィンランドの順番。これらの北欧諸国は、ロシアと国境を接するフィンランドなど、ロシアの軍事的な脅威にもさらされているが、報道の自由はグリーンクラスを維持しており、称賛の声があがっている。

 2番目のイエロー国グループには、英米やカナダ、EU諸国のほか、アジアでは先述した台湾、韓国が入っている。太平洋のニュージーランド、オーストラリアもイエロー国グループだ。グリーン国には届かないまでも、報道の自由が機能している国の目安はイエロー国までという。

 日本が所属するライトオレンジの国は、47位のトンガから110位のブラジルまで。その日本の順位の上下周辺には、66位ポーランド、69位ケニア、70位ハイチ、72位キルギス、73位セネガル、76位ネパール、77位ペルー等の中進国が並ぶ。

 第4グループの「濃いオレンジ国」は、111位マリから152位のタジキスタンまでの途上国が多く、最終ランクのレッド国は、153位ベラルーシ、155位ロシア、175位中国、176位、ミャンマー、178位イラン、180位北朝鮮等の順となり、報道の自由がない独裁国が占めている。

 日本は民主主義国G7の国際的リーダーとして認知されているが、実際には報道の自由国際ランクは第三ランクに属するほど低く、発展途上国や独裁政権に近い国々と隣り合わせに位置していることに驚く。しかも、ここ10年くらいこの悪状況は続いているのである。もちろんG7では最下位だが、日本と同じライトオレンジ国に色分けされたイタリアの順位は58位で、日本の71位より高く、むしろEU諸国のイエローゾーンに近い。

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記者クラブ自由化などで民主党政権時代は11位に

 実は、民主党が政権交代した時期、鳩山内閣時代のランクは北欧諸国と肩を並べた11位に跳ね上がったことがあった。外務省の外交機密文書公開や政府省庁の透明化の推進、記者クラブの自由化、放送電波の自由化等のメディア政策が積極的に動き出した時期でもあったが、民主党政権崩壊で消滅した。またこれらの民主党の政策に対する国民世論の支持が希薄だった点も見逃すことはできない。

 自民党が政権を奪還してから再び報道の自由ランクは下落に転じた。「民主党時代は悪夢だった」と自民党はよくいうが、報道の自由に関しては悪夢どころかバラ色だったのだ。

 国境なき記者団のランクのスコアの決め方はおかしい、報道の自由は主観的な問題で、ランキング等気にする必要はないという意見がある。しかし報道の自由を侮ってはいけない。自由なメディアの影響力が弱体な国は、いくら経済や軍事力があっても、国力は弱いという指摘がある。

 ちなみに、

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