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霞が関の現役官僚が語る「公務員制度改革は、こうあるべきだ!」

古賀茂明(前国家公務員制度改革推進本部事務局審議官)/聞き手:一色清

 挫折したかに見える民主党政権の公務員制度改革。霞が関きっての「改革派官僚」で、国家公務員制度改革推進本部事務局などで関連法改正などを進めてきた古賀茂明氏が語る、民主党政権による「改革」の限界と、大胆で有効な公務員制度改革の道筋とは――。

 ■古賀茂明(こが・しげあき) 1955年生まれ。80年、東大法学部卒業。同年、通産省(現・経産省)に入省。2003年、産業再生機構執行役員。経産省の経済産業政策局経済産業政策課長などを経て、08~09年に国家公務員制度改革推進本部事務局の審議官を務めた。

 ――現在、古賀さんは経済産業省の大臣官房付という役職にいますが、その経緯からお話ください。

古賀茂明氏拡大古賀茂明氏

 大変申し訳ありませんが、具体的な人事の経緯は「対外秘」ですので、お話しすることはできません。言えることは、昨年12月17日まで国家公務員制度改革推進本部の審議官をしていましたが、仙谷(由人)担当大臣の方針で幹部入れ替えがあったため、経産省に戻され、そのまま今日に至ったということだけです。また、今日お話しするのは、私の個人的な考えで、経産省や政府の立場とは関わりがないということも、あらかじめ申し上げさせていただきます。

 ――「報復人事」などと一部では言われていますから、大変難しい立場におられるんだなということがひしひしと伝わってきますね。我々の取材では、大臣官房付にもいろいろな場合がありますが、古賀さんのようなケースは、イレギュラーな時期にポストを外れたための「待命ポスト」ということですよね。年明け1月頃、あるいは遅くとも春には新しいポストに移るのが普通ですが、結局、4月も7月も何もなかった。その間、天下りを提示されたが、これを拒んだとも伝えられていますが、真相はどういうことなんでしょうか。

 まず、私のケースについてということではないですが、天下りについて、今何が起きているか説明しましょう。民主党政権は「天下り根絶」を掲げていましたが、独立行政法人などへの現役出向や民間企業への派遣は厳密な意味では天下りではないからということで、これを積極的に進めようとしています。これは参議院選挙などに国民の関心が集中していた時に打ち出されたのであまり知られていませんが、かなり大胆な方針変更です。また、霞が関を辞めてOBの斡旋で民間に移る場合、「役所が斡旋しなければ天下りには当たらない」とされていて、同僚や先輩・後輩たちの多くもそうした人事に従っています。

 しかし、出身官庁に戻ることが前提の現役出向であっても、ポスト維持のために無駄な仕事を増やしたり、民間との間で不透明な癒着が生じるという点では天下りと同じです。特に今回進められている現役出向や民間派遣の拡大は、政権の意図とは違って、官僚側は、「天下り禁止で上が詰まってしまったので、その手前で外に避難場所を民間企業などのコスト負担で作り、ポスト不足を解消しよう」という目的で実施しようとしていますから、今までの天下りと同じ弊害が出る危険性は高いと言わざるをえません。私は、もちろんこの制度の拡大には前から強く反対していました。

 もちろん、人事権者の発令で一方的にそういうことが行われる場合は私も従わざるをえませんが、例えば、現役出向の場合は、形式的に一度退職して公務員の身分を失うかたちになります。その際、クビになるのではなくて、自発的に辞職願を出す。本人が国家公務員じゃなくていいと言っているから独法に、という形にするのです。同じように、民間企業への派遣時にも、本人同意の手続きが必要です。つまり、そこに行くかいかないか、自由意志の選択を迫られるわけです。私はもともと「現役出向は形を変えた天下りだ」として反対の立場をとっています。ですから、仮にそういうオファーがあったとしたら、それは踏み絵を迫られるようなものですよね。

 こうした意向は前々から人事当局に伝えてありましたので、具体的なことは言えませんが、7月の人事でも、結局、次のポストが人事当局として手当てできない結果となったようです。

 ――古賀さんは今年、55歳になられたそうですね。これまで経済産業政策局中心にいろいろな実績を重ねて来られましたが、そのキャリアを考えると当然、経産省で何らかの責任ある役職に就くのが自然な流れだと思いますが。

 大臣(直嶋政行経産相)から見れば、大きな仕事を進めるような、しかるべきポストには使いにくい理由があるということなのかなあとも思いますが、正直わかりません。

 ――経産省では7月に新しい事務次官が就任しましたが、これで古賀さんの処遇が変わることはないのですか?

 私としては、これからも思い切った改革のために仕事をしたいという気持ちはありますから、そういうことは新体制になった人事当局にも伝えていきたいと思っています。現実にそうなれば嬉しいのですが、あくまで、任命権者は大臣ですから、最終的には大臣の考えが変わらなければ、私はこのままの状態に置かれるのかもしれません。

 ――その場合、古賀さんはどうされるのですか?

 今の政権では君のような者は「使わないよ」と言われているということがはっきりしたら、そのなかでどうするのか、ということを考えなければいけないわけです。

 ――しかるべく処遇されない原因は、公務員制度改革推進本部事務局の審議官として古賀さんが主張し、推進してきた公務員制度改革が、民主党政権とかなり異なった、もっと抜本的な改革だったためだ、と考えていいでしょうか。

 私は、むしろ民主党政権になって、自分の考え方に沿った改革が実現できるチャンスが高まったと思いました。一緒にやっていた若い人たちも同じ気持ちでした。しかし、実際には、私が主張した改革は、政府や霞が関から見れば相当、過激だったということのようです。本当に思い切った改革の主張を前に進めようとすると、霞が関内部で既得権を守ろうとする人達からも足を引っ張る人が多くなるのは当然です。今までの霞が関のルールのなかで各省庁、仲良く仁義を守ってやっていきましょう、という世界では難しいということでしょう。

 ――結局、古賀さんに何か仕事を与えても官僚側が一致団結してつぶしにかかるから政権としても使うのはためらわれるということなんですね。 ・・・続きを読む
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