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漁業は「じり貧」から「持続可能」をめざせ

高成田享

高成田享 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

 いま、三陸から房総沖の北部太平洋で、巻き網によるサバ漁が盛んに行われている。12月11日には、千葉県銚子港に4700トンのサバが水揚げされた。豊漁なのは、けっこうだが、漁獲されたサバのほとんどが300グラムから400グラムのジャミサバと呼ばれる1歳魚のマサバだと聞くと、資源に影響しないだろうかと心配になる。

 マサバは1978年に約150万トンの漁獲があったのをピークに減り続け、90年には2万トンまで減少、最近は6~8万トン前後で推移している。水産庁の資源評価は「低位横ばい」だ。ジャミサバは鮮魚としての価値は低く、養殖用のえさや缶詰など加工用に利用されている。もう1年か2年か待てば、大きく成長し、鮮魚として高く売れるのはわかっているのだが、漁業者は目先の利益に走りがちだ。

 今年(2010年)の秋に、ノルウェーのサバ船に乗って取材をする機会があった。1隻当たりの漁獲量が割り当てられているため、私が乗った船は小型魚の群れでは網を入れず、漁場を変えて大きな魚を獲った。資源管理がきちんとなされているノルウェーと、「低位横ばい」でも幼魚を獲り続ける日本との差を実際に見たことになる。

 12月初旬、ハワイで開かれた中西部太平洋マグロ類委員会(WCPFC)は、メバチ(マグロの一種)の資源に打撃を与えている大型巻き網の規制を議論したが、巻き網船の規制を求める日本に対して、新興の韓国、豪州などが反対し、実質的な歯止めはかからなかった。

 沿岸の漁師、カツオの一本釣りやマグロの延縄など伝統的な漁業者は「諸悪の根元は巻き網」と巻き網を非難する。しかし、巻き網は資源枯渇の心配が出てくるほど効率的な漁法なわけで、資源を確保できるのなら、むしろ推奨すべき漁業だろう。問題は資源管理が不十分な漁業の体制なのであって、巻き網漁業が悪いわけではない。

 あらためて日本漁業を振り返ると、 ・・・続きを読む
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筆者

高成田享

高成田享(たかなりた・とおる) 仙台大学体育学部教授(スポーツメディア論)

1948年、岡山市生まれ。71年に朝日新聞社に入り、経済部記者、アメリカ総局長、論説委員などを経て、2008年から石巻支局長。この間、テレビ朝日系「ニュースステーション」キャスターも経験。2011年2月に退職し、仙台大学教授。東日本大震災後、復興構想会議の委員を務める。主な著書に『ディズニーランドの経済学』(共著、朝日文庫)、『こちら石巻 さかな記者奮闘記――アメリカ総局長の定年チェンジ』(時事通信出版局)、『さかな記者が見た大震災 石巻讃歌』(講談社)など。

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