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民主党の「看板」に賞味期限が来た統一地方選挙

櫻田淳

櫻田淳 東洋学園大学教授

 東京都知事選挙には、政権政党である民主党が擁立した候補はいなかった。民主党は、二〇〇九年衆議院選挙に際して、東京都の小選挙区二十五議席の内、二十一を占め、二〇一〇年参議院議員選挙では候補二名の当選を果たし、二百四十万票を獲得した。こうした経緯に照らし合せれば、自前の候補を擁立できなかった民主党の現状は、奇妙である。

統一地方選前半戦の「敗北」を受けて記者の質問に応じる岡田克也民主党幹事長=11日未明、民主党本部で
 こうした環境の激変が、既に露わになった民主党の党勢失墜によって招かれたというのは、誠に平凡な説明である。事実、直近の諸々の世論調査の結果は、政党支持率において民主党が自由民主党を下回る状態が続いていることを示していた。ただし、こうした表層的な説明とは別に、次に挙げる二つの点は、留意に値しよう。

 第一に、東京都知事選挙に臨む際に民主党は、どのような論理を用意しようとしたのかは、甚だ曖昧である。一昨年夏の「政権交代」以前ならば、国政レベルでは「反・自由民主党」、東京都政レベルでは「反・石原慎太郎」といった「アンチの論理」に徹することは、理に適っていたかもしれない。

 ただし、「政権交代」を経ても、民主党内閣二代の政権運営には、「自民党内閣時代の流儀は踏まない」という趣旨の「アンチの論理」が見え隠れする。「民主党の政権運営や政策でなければならない理由」は、この一年半の政権運営を経ても、実は国民各層に明確に示されているわけではない。そうした政党としての腰の定まらない事情が、候補擁立断念にも反映されている。

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