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会社を辞めなくても議員になれる制度を

薬師寺克行

薬師寺克行 薬師寺克行(東洋大学社会学部教授)

 統一地方選後半戦が終わり、多くの自治体で新しい議員が誕生する。その裏で少なからぬ人たちが失業を余儀なくされていることをご存じだろうか。

 初めて市町村議会議員選挙に立候補する人は、その人がサラリーマンだったり公務員だったりした場合、ほぼ例外なく辞表を出さざるを得ない。見事当選すれば問題ないが、落選すれば大変で、その瞬間に失業者となってしまう。そればかりか選挙運動に使ったお金が借金として残る場合もある。

 実は「選挙に立候補するのだから、会社や役所を辞めるのは当たり前」というのは、日本の常識ではあるかもしれないが、先進民主主義国では非常識の部類に属する。

 地方分権の進んでいるドイツでは企業従業員や公務員が国政選挙や地方議会選挙に立候補する場合、選挙運動のために約2カ月間の選挙準備休暇が保障されている。さらに、議員に就任したことを理由に解雇することが法律によって禁止されている。また、フランスでは国政選挙、地方選挙ともに、立候補休暇が認められているほか、当選した場合、将来、もとの仕事に復職する意思があれば議員の任期を終えた時点で、元の企業や役所の同じポストかそれと同等の職に復帰できると定めている。イタリアでは、下院議員に立候補する場合、当選すれば在職休暇が認められ、任期終了後に復職すれば議員在職中の定期昇給まで認めている。

 こうした制度があれば、落選後の生活を心配することなく立候補が可能になり、実質的な「被選挙権」の拡大につながっている。また、当選しても議員の職に執着する必要がなく、任期中に議員として目的を果たしたと考えればだらだらと議員を続ける必要はなく、安心して元の会社や役所に復職できる。その結果、多選の予防策にもなり、議会の風通し、世代交代が促進される。

 では日本の地方議会の場合はどうか。 ・・・続きを読む
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筆者

薬師寺克行

薬師寺克行(やくしじ・かつゆき) 薬師寺克行(東洋大学社会学部教授)

東洋大学社会学部教授。1955年生まれ。朝日新聞論説委員、月刊誌『論座』編集長、政治エディターなどを務め、現職。著書に『証言 民主党政権』(講談社)、『外務省』(岩波新書)。編著に、『村山富市回顧録』(岩波書店)、「90年代の証言」シリーズの『岡本行夫』『菅直人』『宮沢喜一』『小沢一郎』(以上、朝日新聞出版)など。

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