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硫黄島から見た日米関係

小谷哲男

小谷哲男 小谷哲男(NPO法人岡崎研究所特別研究員)

 神奈川県厚木基地から軍用機でおよそ2時間、1200キロ離れた小笠原諸島の南端に、太平洋戦争の激戦地となった硫黄島がある。数年前、映画「硫黄島からの手紙」が大ヒットし「硫黄島ブーム」が起こったが、現在は自衛隊の基地となっており民間人は立ち入ることができない。

FCLPを行うスーパーホーネット=筆者撮影(以下同様)
 先日、横須賀を拠点とする米空母「ジョージ・ワシントン」(GW)が夏の作戦航海に出る前にこの島で行われる艦載機の陸上模擬着艦訓練(FCLP)を見学する機会を得た。

 硫黄島に降り立ってすぐに米海軍からFCLPに関するブリーフィングを受け、滑走路に移動すると、6機の艦載機が1組となり、上空600フィートを旋回しながら滑走路を空母の甲板に見立て次々と離発着を繰り返していた。

 地上では着艦信号士官が1回ごとの着艦を評価し、パイロットの成績として記録していた。

乗り捨てられたシャーマン式戦車
 米海軍が艦載機を運用するようになって今年でちょうど100年である。1世紀かけて艦載機運用のノウハウを蓄積してきたのである。

 中国海軍がこの夏にも最初の空母の運用を始めると伝えられているが、とても5年や10年では米海軍のレベルに達することはないだろうと感じた。

米海兵隊の慰霊碑
 昼間の訓練を見学した後、夜間の訓練が始まるまで自衛隊に島の案内をしてもらった。
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