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【北大HOPSマガジン 北海道から何を発信するか】 北海道発の宇宙開発に注目!

鈴木一人(国際政治経済学)

鈴木一人 鈴木一人(北海道大学公共政策大学院教授)

 日本の宇宙開発といえばJAXA(宇宙航空研究開発機構)やロケットや衛星を作っている三菱重工業や三菱電機、NECといった宇宙産業を思い浮かべる人も多いであろう。宇宙開発で思い起こす場所としては、JAXAの研究拠点である筑波宇宙センターや種子島宇宙基地からのロケット発射、「はやぶさ」が生まれたJAXA相模原キャンパス、三菱重工業の飛島工場(名古屋)や三菱電機の鎌倉製作所をイメージする人もいるかもしれない。

拡大打ち上げられた北海道道産ロケットCAMUI(カムイ)-90P-SR=2010年9月2日、美唄市で
 しかし、こうしたメインストリームの宇宙開発とは違う、一味違った独創的な試みが北海道でなされている。その代表はCAMUIロケットであろう。

 北海道大学で開発された、固体燃料と液体燃料のハイブリッドエンジン技術を基礎に、低価格で安全、さらに環境負荷の小さいロケットを開発すべく、北海道宇宙科学技術創成センター(HASTIC)が中心となって、開発実験を行っている(2010年12月22日の打ち上げ映像)。

 これまでの日本のロケットは、科学衛星を打ち上げるため、独自で開発した固体燃料ロケットのシリーズ(「はやぶさ」を打ち上げたミュー・ロケットなど)、アメリカの技術を基礎に中大型衛星を打ち上げる液体燃料ロケットのシリーズ(現在の基幹ロケットであるH-IIA/B)が中心であった。

 しかし、固体燃料ロケットは、大陸間弾道弾のようなミサイル技術と共通するところが多く、また、コストが高すぎたため、現在では打ち上げられていない(新型の固体ロケット計画は進んでいるが)。また、液体燃料ロケットは「宇宙大国として国際的に認知されたい」という欲求や、技術的に困難なロケットに挑戦したいという目標が前面に出ているが、こちらもコストが高く、打ち上げ回数が制限されているため、国際的な競争力を持たないロケットになっている。また、いずれのロケットも国家予算=国民の税金によってファイナンスされており、財政状況が厳しくなる中、ロケットのコストや競争力が問題にされるようになってきている。

●北海道で熱を帯びるロケット開発競争

 これに対し、CAMUIロケットは、研究開発の支援を受けているとはいえ、かなりの程度、手弁当で研究開発を行い、実用性の高いロケットを作ろうとしている。さらに興味深いことに、このCAMUIロケットの「ライバル」ともいえる、民間資金によるロケットが北海道を舞台に登場し、新たな「宇宙開発競争」が北海道で始まっている。

 そのロケットを作っているのは、先日、刑務所に収監された ・・・続きを読む
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筆者

鈴木一人

鈴木一人(すずき・かずと) 鈴木一人(北海道大学公共政策大学院教授)

1970年、長野県生まれ。立命館大学国際関係学部中途退学、同大学院国際関係研究科博士後期課程退学後、英国サセックス大学ヨーロッ パ研究所博士課程修了。筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授などを経て、2008年から北海道大学公共政策大学院准教授、2011年から教授。現在はプリンストン大学国際地域研究所客員研究員。専攻は、国際政治経済、ヨーロッパ研究、宇宙開発政策など。著書に『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、第34回サントリー学芸賞受賞)、共著に『グローバリゼーションと国民国家』(青木書店)、編著に『EUの規制力』(日本経済評論社)など。

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