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「暴れ馬」橋下徹と、どうつきあうか

菅沼栄一郎 朝日新聞記者(地域報道部)

 橋下徹(42)という政治家と、有権者はどうつきあえばいいのか。

 関西電力に原発の情報公開を迫ったり、国の出先機関廃止の公約実現に熱心でない野田佳彦首相にかみついたりする姿は頼もしく見えるけれど、君が代を起立して歌わない教師はクビにするという条例をいきなり決めてしまうあたり、危険な臭いがプンプンする。

大阪市長選への立候補を表明する橋下徹・大阪府知事=10月23日、大阪市中央区の南海難波駅前で

 いささか元気の良すぎる暴れ馬に、覚悟を決めて乗ったらいいものか、いったん退場させて頭を冷やしてもらうか、腕組みをして考える人たちが多いのではなかろうか。

 君が代を起立斉唱しなければ懲戒免職もあり、とする条例を決めたときは、「よほど君が代が好きなのかな」と思いもした。しかし、発言をよく聞いてみると、どうやら本来の狙いは「公務員の規律厳格化」「公立高校への競争導入」にあるらしい。

 曰く。「思想良心の自由の問題ではなく、組織マネジメントの問題だ」「府民全体に起立は求めない」「生徒は場合によって起立しなくてもいい」「嫌なら公立の教員を辞めればいい」。

 国旗・国歌法が1999年に制定された当時の官房長官だった野中広務氏(86)は、「起立せなんだら処罰する、なんてやり方は権力者のおごり」と橋下流を切って捨てる。過去の戦争に招集された経験があり、44歳も年が違う野中氏は、君が代に対する思いにも違いがある。

 「日の丸・君が代に負の感情を抱く人もいる」と言う野中氏に対し、橋下氏は「世の中大きく変わった。軍国主義の象徴ととらえるような歴史観をもった人はごく少数になって、起立しないことを認めるデメリットの方が大きい」と言う(6月28日付「朝日新聞」朝刊)。

 さて、この争論をどう聞くか。

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