2011年11月08日
プロ野球の監督というのは、いずれは辞める商売である。たいていは成績低迷が2~3年続き、ボロボロになってクビになる。ファンからは手のひらを返すように「人間のクズ」の如く罵倒され、静かに消えていく。今年の阪神監督・真弓の辞任がそうだ。来年も続投の予定だったのが、ファンと関西の野球マスコミにコテンパンに叩かれ、球団がクビの断を下した。
それに比べ、落合は、何と幸せなことだろうか。
チームは今年、セ・リーグを制覇し、彼の優れた名監督としての実力・名声はいよいよ増した。中日監督8シーズンのうち、リーグ優勝4回、Bクラスなし、日本シリーズでも優勝。抜群の成績を残した「栄光の大監督」として監督人生に一区切りつけることができたのだ。ボロボロで辞めさせられるどころか、キンキラキンの成績のまま終わるという「最高の辞め方」である。
もちろん、落合自身の憤懣(ふんまん)は改めてここに書くまでもあるまい。だが中日球団というのは親会社である中日新聞のいわば付属物で、特に同紙運動部が監督、コーチ人事にまで強い影響力を及ぼすところだと友人のスポーツライターから聞いたことがある。
そんな「ムラ社会」の利権を排除し、コーチに中日OBを使わず、系列のスポーツ紙にも冷たい態度を取り続けた落合。彼は確かに中日をリーグ屈指の強力チームに育て上げた。だが小姑たちは機会あらば彼を弾き出そうと待っていたのだ。小姑たちにとってはチームの勝利以上に大事なものがあった。それは中日グループという「ムラ社会」内部の保身と権益擁護の論理というべきもので、観客動員数云々というのは付け足しに過ぎないと思う。その意味で、落合の「追放」は来るべきものが来たといえるのだ。
落合は確かに多くのいい選手を育てた。だが
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください