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「普通のロシア人」が支持するシナリオとは?

佐藤優

佐藤優 作家、元外務省主任分析官

 2011年12月4日にロシアで国家院(下院)選挙が行われた。その結果、プーチン首相が党首をつとめる「統一ロシア」の議席は238、共産党は92、「公正ロシア(エスエル)」は64、自民党は56となった。今回の選挙結果は、与党の敗北であるという論評が多いが、筆者の見方は異なる。

 確かに「統一ロシア」は、改選前の315より77議席を減らしたが、それでも総議席450のうち52.9%を占める圧倒的な力を持つ。それに「公正ロシア」、自民党も与党なので、与党の議席は計358、総議席の79.6%を占める。さらに共産党の約半数の議員もプーチン首相の影響下にある。今回の国家院選挙でプーチン翼賛体制が信任されたと見てよい。

 今回の選挙に不正があったという抗議運動が展開されているが、その主体になっているのは欧米型民主主義を信奉する知識人や青年だ。12月6日、米国のクリントン国務長官が<「選挙の正当性に大いなる疑問がある」と批判し、ロシア側に不正の調査を求めた。/長官は、下院選に派遣された欧州安保協力機構(OSCE)の選挙監視団が多数の不正があったと発表したことに関連し、「ロシア国民は自分たちの声を(国に)届かせ、国民の前で弁解している権力者たちに国をしっかり統治させる権利がある」と語った。>(12月6日、朝日新聞デジタル

「統一ロシア」の党大会に出席したプーチン首相(右)とメドベージェフ大統領=11月27日、ロイター

 今回の抗議行動がロシアで中東型のジャスミン革命を生み出す可能性は

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