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金正恩は「ミサイル指導局」を掌握できるか

小谷哲男 小谷哲男(NPO法人岡崎研究所特別研究員)

 金正日総書記死去の報が世界を駆け巡っている。折しも日韓首脳会談が慰安婦問題をめぐって決裂し、北朝鮮問題で十分連携することができなかったばかりである。とはいえ、この日が近いことは予測されていたし、関係各国は金正日死去というシナリオに基づいて検討してきた。米韓は北朝鮮の崩壊を想定し、クーデター、革命、大規模亡命、大量脱北、大量破壊兵器流出等に備えた共同作戦計画5029を策定済みである。

韓国・大延坪島から上がる砲撃による煙を港から見つめる人たち=2010年11月23日、AP

 しかし、北朝鮮のように通常でも外部から遮断された国家で、ましてや権力の移行期に内部で何が起こっているかを知ることは誰にもできない。当面は12月28日に予定される葬儀の準備で挑発的行動に出る余裕はないと思われるが、水面下では凄まじい権力闘争がすでに繰り広げられているかもしれない。

 朝鮮中央テレビは三男の金正恩氏が権力を継承すると発表しているが、あまりにも若く、その指導力は未知数である。平和裏に権力を継承できるかどうかは、何よりも軍の動きにかかっている。とりわけ核・ミサイル兵器を管轄するミサイル指導局を掌握できるかどうかが鍵である。 ここは朝鮮人民軍総参謀部直轄で、最高司令官(金正日元帥)が直接指揮してきた。

 核兵器は、北朝鮮において権力の象徴である。万が一、軍部が新体制の人事や政策に不満であれば、核兵器を独自に管理しようとするかもしれない。あるいは、軍部の中で核をめぐって内紛が起こり、内戦につながる

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