メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

オバマはサイバー攻撃で「オリンピック」に出場した

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 『ニューヨーク・タイムズ』紙(6月1日)に掲載されたデービッド・サンガー記者の記事が話題を呼んでいる。イランに対するサイバー攻撃をオバマが命じたとの特ダネだったからである。それまでは2010年に起こったイランの核関連施設へのコンピュータ・ウィルスを使った攻撃、いわゆるサイバー攻撃は、イスラエルの「単独犯行」と考えられていたからだ。

 サンガーによれば、ブッシュ前大統領の在任中からイスラエルとアメリカが協力して進めてきた対イランのサイバー攻撃作戦には、「オリンピック」という暗号名が付けられている。オバマ大統領は、この「オリンピック」を引き継いだ。しかも2010年にウィルス攻撃が表面化しても、続行を命じてきた。

 このオバマの「オリンピック」は、国家の国家に対する大規模なサイバー攻撃の最初の例として歴史に残るだろう。この記事は、その4日後に出版された“Confront and Conceal(密かなる対決)”の抜粋である。記事と本書の衝撃が今でもワシントンで感じられる。

 サンガーによれば、オバマがブッシュから引き継いだのは、イランに対するサイバー攻撃とパキスタンでの無人機によるアルカーイダのメンバーの殺害作戦である。両者の計画と実行をオバマが直接に命じてきた。

 この時期に、こうした情報が公開された背景には何があるのだろうか。

・・・ログインして読む
(残り:約524文字/本文:約1092文字)