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外交は強硬で、米中冷戦の局面も――2期目のオバマ政権

春名幹男

春名幹男 早稲田大学客員教授(米政治安保、インテリジェンス)

 接戦の末、再選されたバラク・オバマ米大統領。2009年の就任時には超党派の政策を実行すると約束したのに、現実の政策は「リベラル」で失望感が出たため、苦戦した――。

 ざっと見渡して、日本のメディアも有識者もそんな受け止め方が一般的だが、厳密に言えば正しくない。

 確かに、オバマ大統領は出発点では、内政も外交・安保も「リベラル」だった。

 外交・安保では、「核なき世界」を訴え、中国に対しては融和路線、イスラム世界に対しては対話を呼びかけた。

 しかし、現実主義者のオバマ氏は政権の2年目、外交・安保では強硬論に転じた、とニューヨーク・タイムズ紙は指摘している。

 ミサイル発射実験を続ける北朝鮮に影響力を行使しない中国との協力姿勢を改め、対中警戒姿勢に転じた。北朝鮮の核開発に関する6者協議開催にオバマ政権はまだ一度も応じていないのだ。

 テロ対策でも、テロ容疑者を収容するグアンタナモ収容所閉鎖の公約をほごにした。無人機によるパキスタンなどのテロ組織拠点攻撃を強化、米国籍を持つ「アラビア半島のアルカイダ」幹部アンワル・アウラキ容疑者を無人機からミサイルで殺害し、人権擁護団体から訴えられた。

 秘密漏洩を警戒し、メディアに情報を漏洩した情報機関などの米政府職員6人を「スパイ防止法」で起訴した。また、情報公開も停滞し、秘密主義者の一面も見せた。

 核廃絶への期待とは裏腹に、

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