メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

無人機で麻薬王を殺害しようとした(?)中国

高橋和夫 放送大学教養学部教授(国際政治)

 英語で「ドローン」と呼ばれる無人機による殺害が議論となっている。アメリカのオバマ政権は、ミサイルを装備したドローンを使って数多くの「テロリスト」を殺害した。しかし、アメリカが一方的に「テロリスト」と決めつけた人物を裁判にかけることもなく外国で殺害することの合法性に関しては議論がある。もし、他の国々もアメリカのように外国にドローンを飛ばして殺害を始めると、国際秩序はどうなるだろうかという疑問がわく。

 そして、どうも他の国がドローンで殺害するという事態が近づいているようである。2月19日付の中国『グローバル・タイムズ』紙のインターネット版が報じるところによると、中国の公安当局は、ミャンマー北部の山岳地帯に身を隠していたナウ・ハムという名の麻薬王のドローンによる殺害を考慮した。

 2011年10月にメコン川で中国船が乗っ取られ中国人乗務員13人が殺害される事件があった。中国、タイ、ラオス、ミャンマーの共同捜査は、ナウ・ハムの組織の犯行と断定した。ナウ・ハムは、中国、タイ、ラオス、ミャンマーの国境地帯、いわゆるゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)で最大のギャング組織を率いていた麻薬王で、2011年以前にも中国人の殺害に関与していた。中国当局が追跡したが、

・・・ログインして読む
(残り:約529文字/本文:約1066文字)