2014年04月03日
コワモテと傲岸ぶりの評判はどこへやら、いくつものテレビ番組に出演し、しおらしい態度で、
「こういう不当な決定に基づいて、我々がこのような損害を被るのは容認できないというのが、我々の率直な気持ちです」(3月20日)
などと東京地裁を非難、世間に訴えかけても、正直いって「時すでに遅し」の感があります。
朝鮮総連中央本部で長くマスコミ対策を担ってきた徐忠彦(ソ・チュンオン)国際・統一局長。「親兄弟もバリバリの専任活動家」(総連関係者)で、総連系の朝鮮大学外国語学部を卒業後、組織活動ひと筋で来た「総連の表の顔」のひとりです。
靖国神社にほど近い、都心の一等地にある総連中央本部ビル。きらびやかなシャンデリアと大理石が目を引く1階ロビーを公開し、取材に答える徐局長でしたが、そのこと自体、意表を突かれ慌てふためく総連中枢の狼狽ぶりを物語っているようでした。
整理回収機構(RCC)の申し立てに基づき、2012年7月に東京地裁が競売手続き開始を決定してから1年半余り、二転三転を続けてきた総連中央本部ビルの競売問題は、ここに来て一気に、最終局面に入った感があります。
それほど今回の地裁の決定は「その手があったか」と驚かせるものでした。
2013年10月の再競売で、正体不明のモンゴル企業が50億1000万円という常識外れの価格で落札したものの、書類の不備を指摘され結局、売却を認められなかったのは記憶に新しいところです。総連ウォッチャーの間では、
「3回目の競売はいつ行われるか」
と注目されていたわけですが、東京地裁が3月20日に明らかにしたのは、意外にも、10月の再競売でモンゴル企業に次ぎ2番目に入札価格が高かった(といっても入札参加は2社だけでしたが)高松市の不動産会社「マルナカホールディングス」が、「繰り上げ」で落札したことでした。
しかも、マルナカ社の落札価格は22億1000万円と、地裁が定めた購入最低価格(約21億3400万円)より少しだけ高いスレスレの金額。モンゴル企業の提示額の半値以下です。地裁は3月24日、マルナカ社への売却を許可する決定を出しました。
市場価格なら35億円は固いといわれていただけに、マルナカ社とすれば、都心の一等地を超格安で手に入れたわけで、まさに大儲け。同社の顧問弁護士は、
「総連に貸すつもりはない。所有権取得後は明け渡しの申し入れを行う。応じない場合は法的手続きを取る」
と話しており、明け渡しに朝鮮総連側が抵抗すれば強制執行も辞さない姿勢を見せています。総連側は24日、決定に対する不服申し立て(執行抗告)を行いましたが、よほど明確な手続き違反がない限り、地裁決定は覆らないものとみられます。
「総連の本山」からの総連中央の退去が現実となってきたのです。
地裁決定が異例なものだったのは確かです。この決定が法的に適切か否か、地裁が最高裁と事前に協議していたフシもみられます。総連からの不服申し立ても当然予想していたでしょう。
にもかかわらず、異例の決定に至った背景には、過去2度の競売での「異様な不透明さ」があったとみられます。関係者によりますと、
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