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福島県知事選、現場の声と気持ちを知るために

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 来る10月26日、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故後初の福島県知事選が行われる。

 震災と事故は、日本全国に多大なる衝撃を与えた。また甚大なる被害と影響は、現在にも大きく残っている。

 特に福島県は、その震災と事故両方の影響を受けて、いくつかの行政区は実質上消滅したかのような状況になり、多くの被災者が、いまだ自宅に戻ることができず、今後も近い将来に帰宅できる可能性はほとんどない。また放射能の除染によって生じた放射性廃棄物の中間貯蔵施設の受け入れの是非など様々な問題も問われている。

福島県知事選の新顔候補の訴えを聞く聴衆ら=福島市飯坂町の応急仮設住宅 2014109立候補者の訴えを聞く有権者たち=2014年10月9日、福島市飯坂町の応急仮設住宅
 さらに、安倍政権は、原子力規制委員会が認めた原発は再稼働する方針なので、委員会が九州電力川内原発の設置変更を許可したことで、国全体としては、止まっていた原発の再稼働が日程にあがっている。

 今回の御獄山の噴火で、原発再稼働の日程は遅れる可能性もあるが、方向性に大きな変化はないものと考えられる。

 このような状況において、福島県で事故後初の知事選が行われるのだ。この選挙は、国政選挙ではないが、日本国民全体が、その事故と原発について考える好機だ。

 その際には、日本全体と将来についての大きな視点も考慮すべきであるが、大きな課題を抱えている被災者や避難者の気持ちと現状も考える必要がある。

 その際、最近出版された『仮設にて――福島はもはや「フクシマ」になった』(遊行社)はまさに時宜にかなっているものだ。

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