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朝鮮総連を本国から支配した男の死

小北清人 朝日新聞湘南支局長

 この9月初めに8年ぶりに訪朝した朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長。10月7日に約1カ月ぶりに日本に戻り、彼が北朝鮮指導部からどんな指示を持ち帰ったか、あるいは金正恩(キム・ジョンウン)第1書記と会えたかどうかが、注目されている。

故金日成(キム・イル・ソン)主席の生家がある平壌の万景台を参観する在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の許宗萬(ホ・ジョン・マン)議長(左から4人目)ら。朝鮮中央通信が報じた=朝鮮通信故金日成(キム・イルソン)主席の生家がある平壌の万景台を参観する朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)議長(左から4人目)=朝鮮通信
 その許氏と長年二人三脚を組み、「一蓮托生の関係」ともいわれた朝鮮労働党幹部の男が、許氏が平壌(ピョンヤン)を離れる直前の10月初め、ひそかに平壌で死亡していたことが確認された。

 姜周一(カン・ジュイル)氏。「姜寛周」(カン・グァンジュ)とも「康寛周」(同)ともいう。

 1930年7月、平安南道(ピョンアンナムド)生まれ。金日成(キム・イルソン)総合大学歴史学部卒。

 長く病状が深刻で、中国の病院を出入りしていると言われてきたが、今回久しぶりに北の土を踏んだ許氏を、周囲に体を支えられながら出迎えた。だが病状は悪化、北朝鮮の病院で死亡したという。享年84。

 この姜氏、少なくとも1980年代あたりから、朝鮮総連を本国で指導する朝鮮労働党の大物幹部だった。万景峰(マンギョンボン)号が日朝間を往来していたころ、頻繁にこの旅客船に乗ってきて、新潟港に入港すると朝鮮総連幹部を船内に呼び、「訪船指導」していた。

 船を降りると、埼玉県内の総連系商工人経営の焼き肉店に食べに行ったり、都内の病院に内臓治療の薬(肝臓が悪かったという)を取りに行ったりと、その動向は日本の当局にマークされた。病院に正体不明の人物のレントゲン写真を持ち込み、

 「金正日(キム・ジョンイル)のレントゲンではないか」

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