上村和子市議に聞く、「民主主義に逆行する動きに歯止めをかけたい」という意志
2014年12月17日
東京都国立市議会が2014年9月19日、安倍晋三首相らに対して、民族差別をあおるヘイトスピーチ(憎悪表現)を禁止する法律をつくるよう求める意見書を、議長を除く20人の市議のうち19人の賛成多数で可決した。全国市議会議長会への報告によると、同様の意見書の可決は全国で初めてだという。意見書の提案をリードした上村和子市議(59)に聞いた。
――ジュネーブであった国連人種差別撤廃委員会は、8月29日に日本政府に対してヘイトスピーチを巡る問題について「毅然(きぜん)と対処」し法律で規制するよう勧告しました。国立市議会の意見書は、こうした流れを受けて可決されました。どういう内容ですか。
意見書は、「一刻も早く、国連人種差別撤廃委員会の31項目の勧告を誠実に受け止め、ヘイトスピーチを含む人種及び社会的マイノリティーへの差別を禁止する新たな法整備がなされることを強く求める」と言う内容で、安倍首相や法務大臣、衆参両院の議長にあてたものです。
――市議4期目の上村さんは、政党には属さずに活動してきました。意見書を提案しようと思ったのはなぜですか。
国立市の隣の立川市には朝鮮学校があります。私は、公的補助がどんどん減らされていく朝鮮学校を支援する運動をしてきて、親しい在日コリアンの友人もいます。
また、国立市では2012年4月に、韓国出身で日本国籍を取得した妻と日本人の夫、少女がいる家の玄関と車に「朝鮮人は出て行け」などという差別をあおるビラが、夜中に貼られた事件が起きました。私は市議会でこの問題を取り上げ、佐藤一夫市長も事件を市報に掲載し、「国立市は差別を許しません」と積極的に動いてくれました。犯人は見つからないまま、家族は引っ越しました。
京都の朝鮮学校が、2009年12月に排外主義的団体のひどいヘイトスピーチに襲われた後、在日コリアンの友だちや市民有志とお菓子をもって励ましに行ったこともあります。ほんの小さなお菓子を配ったら、お母さんたちがハンカチを握りしめて、涙をこらえていました。みんなの心がどれだけ傷ついたか、被害者の苦しみが少しわかり、
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