日本政治のバランスを回復する道
2015年01月10日
2014年末から総選挙後に野党には幾つかの重要な動きが生じており、民主党は代表選を行っている。新年にあたり、ここ2、3年の中期的な展望のもとに、これらの動きを考えてみよう。
「維新の党」では橋下徹氏が共同代表を辞任して江田憲司氏が単独代表になった。橋下氏は大阪都構想に集中するためと辞任を説明しており、共同代表に復帰する可能性があるとはいえ、住民投票で敗北すれば政界を退く可能性も示唆しているから、どうなるかはわからない。
橋下氏は、石原慎太郎氏のような明確な極右的主張をしているわけではないが、一度は石原氏と組む決断をした責任が氏にはあり、慰安婦問題に関する問題発言などを見てもわかるように、極右的主張に甘い点があったことは否めない。だから、この変化は、「維新の党」がますます極右的傾向から離れ、改憲政党ではあるにしても民主主義の枠内の政党となってきたことを意味する。
今の「維新の党」には様々な主張があるから単純に左右の軸に位置づけられない。江田氏は、「日本維新の会」の自主憲法制定の方針を継承することに反対し、集団的自衛権の行使には慎重な姿勢を示しているから、中道的な部分が存在する。けれども、橋下氏らの主張がなくなったわけではないから、まだ右翼的傾向は残っているということになろう。
他方で、総選挙の結果、生活の党は3議席減少して政党要件を満たせなくなったが、脱原発の主張で知られる山本太郎氏が加わることによって政党要件を回復し、党名を「生活の党と山本太郎となかまたち」と変更した。党首は小沢一郎氏のままであるが、党名には若々しい色彩が加わり、中道左派的政党が辛うじて生き残ったことになる。
これらの動きは、総選挙の結果に表れた趨勢がさらに進行したことを意味する。総選挙では、次世代の党が壊滅して極右が大きく衰退し、共産党が躍進して左翼が若干上昇した。これに対応して、いわゆる第3極の政党の中でも、極右的勢力の退潮はますます進行し、中道左派政党が辛うじて生き残ったわけである。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください