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千代田区の改革プランから地方議会を考える

統一地方選の活性化のために

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 統一地方選が始まった。そこで、自治体における選挙について考えてみたい。

街頭で支持を訴える候補者=大分県拡大街頭で支持を訴える候補者=大分県
 自治体は、有権者や住民に近い存在で、扱われている政策や行政サービス等も日々の生活に関わるものが多い。

 それは国政と比べてもわかることだ。だから、政策を決める首長や議員の役割は大きく、彼らの存在は住民に直接大きく影響するはずだ。

 ところが、現実は違うようである。図1と図2を比べていただきたい。

 両図を比べるとわかるが、近年は明らかに、地方選の方が投票率が低いのである。

 地方選における無投票が多いことはこれまでにもよく指摘されているが、毎日新聞(3月29日付)によれば、「4月3日に告示される統一地方選の41道府県議で、定数に占める無投票当選の割合(無投票率)が前回2011年統一選から5ポイント増の22.6%となり」、1951年の統一地方選以来、過去最高になる可能性がわかったという。

図1:統一地方選挙の投票率推移拡大【図1】 統一地方選挙の投票率推移  出典:公益団体法人明るい選挙推進協会HP(閲覧日:2015年3月29日) http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/073chihou/
図2:衆議院議員総選挙投票率の推移(中選挙区・小選挙区)拡大【図2】 衆議院議員総選挙投票率の推移(中選挙区・小選挙区) 出典:公益団体法人明るい選挙推進協会HP(閲覧日:2015年3月29日) http://www.akaruisenkyo.or.jp/070various/071syugi/

 これは多くの首長や議員が選挙で選ばれないことを意味しており、それらの地域では民意が本当に反映される形で自治体が運営されるのか疑問だ。これは当該地域の住民の選挙への関心が薄いことの表れでもある。

 このように、地方選は、住民の関心が低いといわれても致し方ない状況にある。

 なぜこのようなことになるのだろうか?

 それは、地方議会の役割や機能にさまざまな問題や課題があるからだ。

 まず、地方議会は、国会議員が首相を選ぶ一元代表制の国会と異なり、首長と議会の二元代表制である。

 二元代表制は、首長と議員が別の直接選挙で選ばれ、双方が政策で競争し合う制度である。そして、「首長は予算や条例などの議案の提出権や人事権など『大統領並み』とも言われる幅広い権限を握る。一方、議会は議案の議決権などによって監視機能を担い、首長の不信任を決議する権限を持つ。首長は不信任を受けた場合に限り、その対抗策として議会を解散できる」(出典:コトバンク)仕組みなのである。

 ところが、地方議会のほとんどが、首長のオール与党化して、議論やチェックも行われず、形式化しているといわれる。

 このことは、2011年1月に行われた朝日新聞によるアンケート調査(対象:都道府県および市区町村の計1797の議会)における、4年間で首長提出議案を修正、否決したことがゼロの議会が50%、議員による提出政策条例がゼロの議会が91%という数字からもわかる。

 また、総務省資料によれば、地方議会の平均会期日数は、平成21年度の場合、都道府県議会で98日、市区議会で85日、町村議会で44日となっている。もちろん、議員は、議会開催日以外にも、政治や政策に関する活動をしているとは思うのだが、一般のサラリーマンの年平均勤労日が、230~240日程度であることを考えると、地方議員の議会での仕事は非常に短いとも思える。

 また、このアンケート調査によると、議案への議員個人の賛否を公表していない議会は84%で、議会が外部からわかりにくいという面もある。

 さらに、最近は、県議会レベルなどでは議会中継も行われるようになっているようだが(インターネットテレビ[地方行政・議会]参照)、議会は一般には縁遠い存在だ。

 なぜなら議会は一般的に平日の日中に行われているために、議会の傍聴が形式的には可能でも、多くの仕事をしている者にとっては傍聴が不可能に近いからだ。

 しかも先に述べたように、地方議会では、政策論戦が行われているわけではなく、関心をもてるようなものになっていない(筆者も、地元の議会を傍聴したことがあるが、退屈であった!)。これでは、有権者や住民の地方議会への関心は下がるばかりだ。

 しかも、総務省資料によれば、平成21年12月31日時点で、地方議会のうち特に市区議会議員では、男女比は、男87.1%、女12.9%であった。また同省の平成21年8月末のデータによれば、議員の職業は、議員専業がダントツ1位で、次が農業、3位がサービス業で、専業か特定の業種をバックグラウンドにするものが多い。

 これらの問題とも関係して、もう一つ別の視点から、現在の地方議会の問題を指摘しておきたい。 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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