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「東大ママ門」のイベントに参加して考えた

仕事と出産・子育て問題の解決は、新しい日本を創ること

鈴木崇弘 城西国際大学客員教授(政治学)

 「東大ママ門」のオープン勉強会に参加してみた。

 「東大ママ門」とは、2011年のホームカミングデーをきっかけに発足した東大卒業生の同窓組織。2014年に出版されて話題になっている『「育休世代」のジレンマ――女性活用はなぜ失敗するのか?』の著者で、現在、女性活用ジャーナリスト/研究者(ChangeWAVE) の中野円佳さんらが主宰している。

 特に、同じような出自で子どもを産んだ女性が自分たちのキャリアや子育てについて、Facebookのグループページ(非公開)やオフ会、勉強会などで情報交換するなどの活動をしている。

 この組織が、「失った時間は取り戻せない――キャリアを望む娘世代・後輩女性『産期問題』をどう伝えるべきか――」というテーマで、オープンの勉強会を開催した。筆者は、別の記事でも記したように「新しい働き方」に関する研究を行っているので、組織の活動ばかりでなく、そのテーマにも魅かれて参加してみた。

 参加者は筆者ともう一人以外はすべて女性で約15名。子ども連れや産休中で参加の女性も多かった。筆者が日ごろ参加する会合やイベントなどとは大きく異なる雰囲気。

 もっとも筆者は、グーグルが主催するWomenwillのイベントに参加したことがあり、規模はかなり異なるが、ここも女性が大半で、子連れの方も多かったことを覚えている。

 今回の勉強会の講師はワーク・ライフ・バランスの専門家の天野馨南子さんで、ファシリテーターは経営コンサルタントの小紫恵美子さんだった。共に、東京大学卒のワーキングマザー。

左から、小紫恵美子さん、天野馨南子さん拡大左から、小紫恵美子さん、天野馨南子さん
 天野さんは、自身のキャリアと出産の経験から、出産に関するバイオロジカル・リミットについて、実体験を経るまで自分がいかに不明であったか、そのためにお子さんを授かるまでにいかに肉体的にも精神的にもダメージを受けてきたかを切々と語られた。

 そして、海外の事例やデータを示しながら、日本では出産や女性に関して、非常に間違った理解(たとえば、35歳を境に女性の妊娠率が急激に低下する事実や、父親の年齢と子供の疾患や障害の高い関係性があることなどについて)がされていること、これらの問題を踏まえると、若い時期に仕事上の負荷で女性が子供を産めないようにしてしまわないように、妊娠期を考慮したキャリア設計の必要性および経営者や政府の理解と対応を強く主張した。

 小紫さんは、コンサルタントとして、この10年、企業から女性の活躍推進の相談を受けるようになり、多くの講演をしてきている。特に2015年に入ってからは経営者にこのテーマで話してほしいという依頼が増えているという。

 そして、以前は「(女性は)生理があるうちは子どもを産めると思っていたが、現実はそうでなく、実際の経験や正確な知識を得て、女性を生物学的にみていかないといけないことを認識した」そうだ。

 そのため、「女性は、30代は仕事で頑張ろうと考えがちだが、多くの女性はそれではまずいと今は考えて」おり、「会社が女性を間違った方に向かわせるのはよくないと考えている」と主張した。

 これらの指摘や主張を受けて、参加者で質疑応答がなされた。ここでは、その中のいくつかの重要かつ興味深いポイントだけを挙げておきたい。 ・・・続きを読む
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筆者

鈴木崇弘

鈴木崇弘(すずき・たかひろ) 城西国際大学客員教授(政治学)

城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科客員教授。1954年生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イースト・ウエスト・センターやハワイ大学大学院等に留学。東京財団の設立に関わり、同財団研究事業部長、大阪大学特任教授、自民党の政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に関わり、同機関理事・事務局長などを経て現職。中央大学大学院公共政策研究科客員教授。著書に『日本に「民主主義」を起業する――自伝的シンクタンク論』『シチズン・リテラシー』『僕らの社会のつくり方――10代から見る憲法』など。

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