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[22]リヤドの爆弾テロ、標的になった姉弟……

川上泰徳 中東ジャーナリスト

 イラク戦争によるバグダッド陥落(2003年4月9日)から約1カ月後の4月12日深夜、サウジアラビアの首都リヤドの外国人居住地3カ所で連続爆発があり、計39人が死亡し、150人以上が負傷した。爆弾を積んだ車による爆弾テロである。

イラク戦争後の2003年5月にサウジアラビアの首都リヤドであった爆弾テロの現場=撮影・筆者イラク戦争後の2003年5月にサウジアラビアの首都リヤドで起こった爆弾テロの現場=撮影・筆者
 イスラム過激派組織アルカイダの犯行という見方が出た。

 イラク戦争の後で、厳格なイスラムを実施するイスラム体制のサウジで、このような大規模なテロが起きたことは中東・イスラム世界の負のエネルギーがたまっていることを感じさせた。

 さらにアルカイダはもともと「サウジ発」の過激派組織であり、今回のテロ実行犯もサウジ人であるのはほぼ間違いない。

「欧米人に反撃したいという思い」

 大規模なテロが起きても、外国人ジャーナリストへの入国ビザは簡単に出なかった。

 ビザが出たのはテロ発生からさらに1カ月後の6月半ばだった。

 サウジの取材は情報省の外国メディア部門に行って、取材希望を出して、調整してもらうことになっている。希望は「爆弾テロがあった外国人住宅地での取材」である。許可が出るかどうかは分からない。

 1カ月たっても外国メディアには現場の立ち入りを認めてはいなかったから、現場での取材に大きな期待は持っていなかった。それよりも、私は過去のサウジ訪問で知っている研究者やジャーナリストと連絡をとり、テロに対する彼らの見方を聞こうと思った。

 サウジの大学でコミュニケーション学を教える研究者は「サウジ国内で欧米人を標的にするテロが起こったことは深刻な事態だ」と語った。「しかし、考えてもみなさい」と続けた。

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