野党は立憲国家の非常事態を宣言して世界に訴えよ
2015年09月22日
9月19日午前2時半ごろに安保法案は「成立」した。与党が傍若無人な国会運営により、野党の抵抗を押し切ったからである。
これで議会によって新しい法律が制定されたと多くの人が思うだろう。
しかし、そうではない。
この法律は内容的に違憲無効であると同時に、その成立手続きに深刻な問題があり、法的には実は「成立」してすらいないのである。
しかし、これは実は合法的な「強行採決」ですらなく、事実上の「クーデター」である。
私は衆院の強行採決の時から、安保法案の採決は法的クーデターであると同時に、政治的クーデターであると主張してきた(「安保法案の強行採決は、『憲法クーデター』だ審議時間はあと数倍~10倍は必要だった」WEBRONZA)。
「良識の府」たるべき参議院では、単にその法案の成立が内容的にクーデターであるというだけではなく、その「可決」を装うプロセス自体が、まさにクーデターとなった。
この法案の「成立」が、まさに憲政のクーデターであることが、万人の目に明らかになったのである。
だから、法と憲政を擁護しようとする野党は日本にクーデターが行われて立憲国家が失われたことをまさに「国家非常事態」として一致して宣言し、人々と世界に訴え、非常事態にふさわしい方法を駆使して全力で戦わなければならない。その中から、立憲主義的国家再生の道が生まれてくることを期待したい。
衆議院特別委員会の「強行採決」では、委員長の姿が見え、声もなんとか聞き取れたから、それは辛うじて「採決」ではあった。野党の反対を押し切ってではあるが、特別委員会でも衆議院本会議でも実際に採決は行われたと考えられる。
これに対して、参議院特別委員会においては、実際の採決そのものが行われなかった。
まず、9月16日には横浜で地方公聴会が行われたが、その夕方から与党が目指す締めくくりの総括審議をめぐって理事会を中心に与野党の攻防が深夜まで続き、国会外の雨中の大デモに勇気づけられて野党が激しく抵抗したために特別委員会は開会できなかった。
そして17日朝には鴻池祥肇(よしただ)委員長が理事会室ではなく第1委員会室で理事会を開こうとして野党と紛糾し、9時45分に職権で委員会の再会を宣言したところで、野党からの委員長不信任動議が提出された。3時間ほどの趣旨説明と討論の末、与党によって否決されると、鴻池委員長が委員長席に戻った直後に安倍首相も入ってきて、「採決」が強行された。
しかし、これは実際には「採決」ではない。
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