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日韓首脳会談は大いなる可能性の入り口

この3年半を意義あるものとするために

金恵京

 3年半ぶりの日韓首脳会談が開かれたことは、日韓関係に携(たずさ)わるものとして喜ばしいの一言であった。

 確かに、今回の首脳会談では、何か大きな進展が見られたという訳ではなく、共同宣言も発せられなかった。しかし、まずは首脳が同じテーブルに着き、議論を始めたということには一定の価値がある。

韓国の朴槿恵大統領(右から3人目)と会談する安倍晋三首相(左から2人目)=2日午前11時5分、ソウルの青瓦台、代表撮影拡大日韓首脳会談を踏まえ、両国はいかに歩み寄っていくのか=2015年11月2日、ソウルの青瓦台、代表撮影
 日韓の首脳会談開催については、水面下で両国の政府関係者、左右を問わない数多(あまた)の民間の関係者が尽力し、筆者自身も開催の必要性を出来得る限り、折に触れ語ってきた。

 そうした働きかけを続け、期待と失望を繰り返した人からすれば、今回の会談は非常に感慨深い。

 そして、何より民主主義をとる国において、半数を超える両国国民が長く望んでいたことが、ようやく実行されたという安堵感がある。

 韓国の峨山(アサン)政策研究院が日韓国交正常化50周年に合わせて、韓国国内の成人男女1000人を対象に行い、6月に公表した世論調査では「安倍談話で歴史問題に対する反省が不十分でも韓日首脳会談をすべきか」という質問に56.3%が「首脳会談をすべき」と答えていた。

 安倍談話に対して一定の評価がなされたことも考えれば、その後の韓国国内における気運の高まりは、日本でも理解可能なことと思われる。

 日本のメディアの中には、経済的に厳しい状況におかれた韓国が、日本との協力の必要性を感じるようになったことが首脳会談開催の要因であるとの指摘もあった。

 確かに、今年(2015年)の韓国の全輸出に占める中国の割合は25.7%であり(対日輸出は4.9%)、中国の成長が頭打ちになっている現在、そうした面も少なくはない。

 しかし、2年ほど前から既に韓国においては首脳会談開催を望む人が多数派であったことを考えても、市民の声や多くの尽力の効果を見直す視点も欠かせない。そこで、首脳会談開催を妨げてきた背景を整理しつつ、今後の展望を検討したい。

日韓関係を考える三つの教訓

 筆者の日韓首脳会談に対する特別な思い入れを振り返ると ・・・続きを読む
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筆者

金恵京

金恵京(きむ・へぎょん) 日本大学危機管理学部准教授(国際法)

国際法学者。日本大学危機管理学部准教授、早稲田大学博士(国際関係学専攻)。1975年ソウル生まれ。幼い頃より日本への関心が強く、1996年に明治大学法学部入学。2000年に卒業後、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修士課程に入学、博士後期課程で国際法によるテロリズム規制を研究。2005年、アメリカに渡り、ローファームMorrison & Foester勤務を経て、ジョージ・ワシントン大学総合科学部専任講師、ハワイ大学東アジア学部客員教授を歴任。2012年より日本に戻り、明治大学法学部助教、日本大学総合科学研究所准教授を経て現在に至る。著書に、『テロ防止策の研究――国際法の現状及び将来への提言』(早稲田大学出版部、2011)、『涙と花札――韓流と日流のあいだで』(新潮社、2012)、『風に舞う一葉――身近な日韓友好のすすめ』(第三文明社、2015)、『柔らかな海峡――日本・韓国 和解への道』(集英社インターナショナル、2015)、最新刊に『無差別テロ――国際社会はどう対処すればよいか』(岩波書店、2016)。

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