ヘイトを正す一助として、日本と世界の歴史史料を見る
2015年11月24日
「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない」(アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案、第一六九回国会、決議第一号、2008年6月6日)
朝日新聞が詳しく報じているように、北海道アイヌ協会が「遺憾」と球団に申し入れ、球団は11月9日、「配慮に欠けたことはおわびすべきだとの理由から、速やかに取り下げる判断に至った」として、即座に広告の撤去を行った。
そもそも、冒頭に掲げたように衆参両院は2008年6月6日の本会議で、政府に対して、日本政府も賛成した「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を踏まえ、アイヌの人々を日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認め、かつ総合的な施策の確立に取り組むことを求める決議を全会一致で採択している。
だが、右派の札幌市議会議員(当時)がアイヌに対するヘイト発言をツイッター上で公言しはじめ、2014年11月8日、東京のヘイトスピーチデモでは、「在日特権デマ」同様にアイヌの人々に対しても、アイヌの特権、利権を許すなというヘイトスピーチが行われるようになった。
このヘイトデモに対しては「#11月8日アイヌへのヘイトを許すな」というハッシュタグで反差別のカウンターが呼びかけられた(「北海道におけるヘイトスピーチとカウンターの現状」)
では実際のところ、歴史的な経緯はどうだったのだろうか。筆者は国際交流史も専攻の1つであるため、以下史料からアイヌと日本の関係を振り返ってみたい。
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