格差と危機に貧した子どもたちのために、「附属一貫校」を
2015年12月01日
総理は目標を決めるから、みんなは実現する方法を考えて!――「1億総活躍会議」は民主主義の実験である。
名目GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロといった政府が掲げる数値目標が一方にあり、他方で、その実現方法の方は国民から広く意見を募ろうというわけである。政治家が政策を提示して競い合い、有権者がどれかを選び取るという、おなじみのデモクラシーの風景とは一味違う。
だからこそ、1億総活躍国民会議の初回会合(10月29日)があまりに注目されないので驚いた。
各紙の記事もちっちゃく何とも心もとない。景気が悪いとはこのことだ。第2回、第3回の会合は、11月12日、26日に開催された。
つい先日まで安保法制であんなに政治への関心が高まっていたのに比べると、永田町の雰囲気は雲泥の差だ。
ということは、安保法制もこの方法でやれば政権は議論の噴出を押さえられたかもしれない。つまり、政府は安全保障政策の具体的な目標をいくつか設定して、その実現方法を広く国民に募ればよかったのだ。
実際には逆のことが起こった。新しい法律ひとつと10の法改正という「実現方法」のパッケージは決まっていて、「目標」の方は微妙に行ったり来たりした。
たとえば、ホルムズ海峡の安全確保は、イランが海上封鎖も辞さない悪役でなければ成立しえない。しかし、立命館大学の末近浩太教授(中東研究)は「安保法制の議論でホルムズ海峡での機雷掃海の事例が挙がるが、国内外の中東研究者で今そうした事態を想定する人がいるのか」と疑問を呈した(2015年06月09日付「毎日新聞」)。
さらに、今年(2015年)7月にイラン核問題で最終合意が成立したことを受けて、日本エネルギー経済研究所の田中浩一郎理事は「米国とイランが衝突してイランがホルムズ海峡を封鎖する可能性はさらに低くなった」と指摘した(2015年7月15日付「朝日新聞」)。後に、ホルムズ死守という目標が取り下げられたのは周知のとおりである。
安全保障と経済政策では、政府が「目標」を決めるのか、「実現方法」を決めるのか、この2つが反転していて興味深い。
できれば、今とは逆のパターンであったらカッコよかった。政府が経済発展の実現方法をバチっとパッケージで示しながら、安全保障については広く国民の意見を募る姿である。
などと他人事のように書きながら、原稿用紙を埋める時代は終わった。経済にせよ何にせよ問題が山積みの日本において、私たちは政府が名案を出してくるのを胡坐(あぐら)をかいて待っているわけにはいかない。
そこで、あちこちで出ている1億総活躍国民会議への批判はさておき、なにかアイデアを出してみようというのが今回のテーマだ。
逆に乗っちゃおうというわけである。先日、緊急の対策は取りまとめられたが、市井からジャンジャン意見してみよう。
私のは、名付けて「若葉学園」構想。
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