メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

16年、シリア内戦と「イスラム国」の行方(上)

アサド政権軍とロシア軍の攻撃を停止させなければ、悲劇は終わらない

川上泰徳

 今年2016年の中東情勢は2015年と同様にシリア内戦と「イスラム国(IS)」を中心に回っていくことになる。シリア内戦とISの問題を分けて今年どうなるかを考えてみたい。

シリア内戦を終わらせる和平協議の行方

 シリア内戦は、アサド政権と反体制派の武力抗争の行方と、2015年に大きな問題となった難民問題の行方の両方に関わる。すでに25万人が死亡し、420万人の難民が出ているというのは第2次世界大戦後、最悪の事態だ。

空爆されたシリア北部イドリブ県カンソフラ=2015年10月6日、住民のモハマド・サヤディさん提供拡大空爆されたシリア北部イドリブ県カンソフラ=2015年10月6日、住民のモハマド・サヤディさん提供
 内戦を終わらせ、統一政府をつくる枠組みとスケジュールが、昨年2015年11月に米国、ロシア、イラン、サウジアラビアなどが入ったウィーンでのシリア支援国外相会合で合意された。

 それをもとに12月に国連の安全保障理事会が内戦終結のための枠組みと行程表(ロードマップ)を決議として採択した。

 決議に基づいて、1月にも国連が主催するアサド政権と反体制勢力の協議が始まる予定だ。

 ウィーン会合では、アサド政権を支えているイランが初めて参画したことで、反体制派に影響力を持つサウジとトルコを合わせて、やっと政治プロセスを支える枠組みができた。

 しかし、新年早々、サウジとイランが国交断絶した。この影響が懸念材料である。

サウジとイランの国交断絶の影響 ・・・続きを読む
(残り:約3121文字/本文:約3656文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
デモクラシーやJournalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

川上泰徳

川上泰徳(かわかみ・やすのり) 中東ジャーナリスト

長崎県生まれ。1981年、朝日新聞入社。学芸部を経て、エルサレム支局長、中東アフリカ総局長、編集委員、論説委員、機動特派員などを歴任。2014年秋、2度目の中東アフリカ総局長を終え、2015年1月に退職し、フリーのジャーナリストに。元Asahi中東マガジン編集人。2002年、中東報道でボーン・上田記念国際記者賞受賞。著書に『イラク零年――朝日新聞特派員の報告』(朝日新聞社)、『現地発 エジプト革命――中東民主化のゆくえ』(岩波ブックレット)、『イスラムを生きる人びと――伝統と「革命」のあいだで』(岩波書店)、『中東の現場を歩く――激動20年の取材のディテール』(合同出版)、最新刊に『「イスラム国」はテロの元凶ではない――グローバル・ジハードという幻想』(集英社新書)。

川上泰徳の新着記事

もっと見る