いまなぜ、公表されたのか?
2016年03月23日
昨年(2015年)6月にシリアの反体制地域に入って行方不明になっているフリーランスジャーナリスト、安田純平さん (42歳)と見られる男性のビデオがインターネットに投稿された。
私も安田さんとは会って話をしたことがあるが、髪や髭が伸びているものの、映像も声も本人と考えて間違いないだろう。
ただし、この動画は、2015年1月に「イスラム国」(IS)が湯川遙菜さんと後藤健二さんを拘束し身代金を要求した動画とは違って、「ヌスラ戦線」が公式に発表したものではない。
「ヌスラ戦線の代理人」と称するシリア人A氏が日本のテレビ局に送りつけたもののようだ。
動画は1分12秒で、安田さんは英語で語っている。
前半で「妻、父、母、兄弟を愛しています。あなたたちを抱きしめたい、あなたちと話がしたい。しかし、もうできない。私が言えることは、どうか体に気をつけてくださいということです」と語る。
後半では、「私は、私の国に対して言わなくてはならないことがあります」と前置きして、手元のメモを読むように視線を落とし、「暗い部屋に座り、苦しんでいても、そこには誰もいない。答えるものもいない。応答するものもいない。目に見えないし、存在しない」と語った。
後半の部分は、ヌスラ戦線側に言わされているとみられるが、日本政府に対して、どのようなメッセージを送ろうとしたのかは明確ではない。
日本のメディアでの安田さん動画には2つの出処がある。
代理人A氏から直接、動画が送られてきたとするのは日本テレビだけで、ほかの新聞、テレビは、代理人とは別のシリア人ジャーナリストB氏がインターネットのフェイスブックに投稿した動画をとっている。
私もそのB氏に直接連絡をとった。
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