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「琉球新報には貸さない」と大家に断られて

はびこる排外主義と「真の愛国者」

新垣毅 琉球新報社東京報道部長

大槻慎二「誤解に満ちた〈沖縄の神話〉と反沖縄の土壌――本土の人間は沖縄の何を見てきたのか」(WEBRONZA)

 その熱気に心を動かされた。4月10日、東京都阿佐ヶ谷のライブハウス。こわもてで屈強な男性らが並び「組長」がこう宣言した。

 「人種差別、排外主義を許さない。われわれこそが真の愛国者だ」

 ヘイト行動の現場に駆け付け対抗する「超圧力/反レイシズム戦線 武闘派 男組」の再結成イベントの様子だ。

 これまでメンバーが「暴力行為等処罰に関する法律違反」で大阪府警に逮捕されたこともあったが、今後は国会の場で政治の「ツール」も使うなどして「非暴力」を貫くという。昨年(2015年)3月に解散した後、再結成したのは若者集団SEALDs(シールズ)がヘイト行動の標的にされ始めているからだと表明した。

男らに襲撃された辺野古移設反対派のテントがあった現場。のぼりや看板なども壊され、歩道上に積まれていた=20日午前、沖縄県名護市20150920辺野古への基地移設反対派のテントが襲撃された現場。のぼりや看板も壊され、歩道上に積まれていた=2015年9月20日、沖縄県名護市
 ここ数年、沖縄も標的にされている。

 沖縄県名護市辺野古で米軍基地建設に反対する市民に対して、座り込むためのテントが壊されたり、デモや集会で罵声を浴びたりしている。男組は、沖縄の人々を守ることも宣言した。

 ヘイト行動によって最も傷つくのは攻撃された集団の子どもたちだろう。京都朝鮮学校襲撃事件は衝撃だった。

 男組の活動の大きな動機の一つは、子どもたちや若者を守ることにあるという。

 人種主義や排外主義は、世界の先進諸国で広がりつつある。米大統領選の候補者が排外主義的な発言を連発し、物議を醸している。決して戦前の話ではなく、私たちの現在の問題として立ち現れている。

まさか自分が標的にされるとは……

 その現実にかねて危機感を抱いていたのだが、まさか自分が標的にされるとは思っていなかった。

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